Vol.93「扁桃炎・咽頭炎」

寒くなりましたが今年もインフルエンザが流行しているようです。風邪には頭痛、発熱、悪寒、咳嗽などが伴いがちですが、今回はのどの痛み、扁桃炎のお話しです。
口を開けると、のどの奥のほうの左右に赤い色をした扁桃が目にはいります。子供の頃はよりはっきり見えます。扁桃は外界から侵入するいろいろな菌やウイルスを捕まえて、その活動を免疫力によって抑えています。ところが風邪などがもとでこの扁桃に炎症が起きますと逆に菌などが繁殖しやすくなり左右どちらかの扁桃がより大きく腫れ、飲み込む時に痛みを感じます。この扁桃炎を起こすウイルスや菌は色々知られていますが、特に溶血性連鎖球菌に感染するとむくみや尿閉、血尿、タンパク尿などの急性糸球体腎炎、下肢の出血斑、腸炎や関節痛を起こすアレルギー性紫斑病、関節に炎症を起こしたり発熱するリウマチ熱を発症することもあります。よく「風邪からの溶連菌が原因で子供が…」と耳にします。扁桃炎から発症するのですね。
 急性扁桃炎の症状として、38℃以上の発熱、咽頭の痛み、倦怠感、関節痛の他、頚部リンパ節の腫れ、耳や側頭部の痛みなどを訴えます。また慢性化すると、扁桃が肥大化し、ひどくなると関節リウマチ、IgA腎症、掌蹠膿疱症などを発病します。現在の治療法は一般的にはVCや抗炎症薬、ステロイド剤などで、細菌が原因の時は抗生物質を使用しますが、最悪の時は手術によって扁桃摘出になります。
 さて、のどの痛み等は、一度はほぼ誰しもが経験していると思います。漢方では昔から咽痛、扁桃炎に使用されている処方が沢山考えられ用いられてきました。

それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

・桂枝二越婢一湯(けいしにえっぴいちとう)・・・・風邪の初期でのどが痛み始め唾が飲み込みにくく、口が渇く時。
・甘草湯(かんぞうとう)・・・・のどの痛みが激しく発赤、腫張がある時に。薬の半分はゆっくりうがいし、残り半分を服用します。用途が広い。
・黄柏煎(おうばくとう)・・・・毎朝夕、黄柏だけを煎じた汁でうがいをします。風邪をひかなくなり慢性扁桃炎もよくなります。
・小建中湯(しょうけんちゅうとう)・・・・虚弱体質で元気なく顔色も悪くよく風邪をひく。慢性扁桃炎の子供の体質改善に。

民間療法としては、昔の人の特効薬として蛇脱皮(ヘビの抜け殻)を10~20cm煎じて飲むとよいと伝えられてきましたが、きょうびヘビの抜け殻なんてどこを探しても...!

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