Q.年中ひどい頭痛(前頭部)とめまいに悩まされています。
5年ほど前に回転性の強いめまいと嘔吐(おうと)をしてから、その後に頻繁にめまいと頭痛が起こるようになりました。特に体が温まると痛みがひどくなってくるので気温の高い夏場はほとんど毎日で、冬場も暖房で暖まった部屋やお風呂に入っている時など、首から上がのぼせて顔の三叉神経痛とともに強烈な痛みに襲われます。
その都度、鎮痛剤を服用し、おでこや首元を保冷剤などで冷やして治めるようにしています。体力がなくとても疲れやすく、また胃腸も弱いのですが、これも何か関係があるのでしょうか? 少しでも体調が良くなるようにご相談に乗っていただけますか? (70代女性)
A.痛みは誰もが経験するつらい思いですが、これは私たちに体内での異常を教えてくれる最初の警告と言えます。痛みには腰痛、四肢関節痛などがありますが最も多いのがこの頭痛です。漢方の世界に「不通則痛(ふつうそくつう)」(通ぜざればすなわち痛む)という教えがあります。気血の流れが阻害されるために痛みが起こるのだよという意味です。頭部の気血の流れが悪くなって頭痛が発生します。
治療法として西洋医学で用いられる鎮痛剤はとても優れていて高い効果が得られますが、痛みそのものを止めることを目的としているため原因を治すことはできません。そこで、しつこく繰り返す慢性頭痛には原因治療の漢方薬をお勧めします。
今回のご相談は年中のひどい頭痛(前頭部)とめまいで、特に体温が上昇すると痛みがよけいひどくなるようですね。首から頭部への血流が熱邪(ねつじゃ)によって阻害され、血管や神経を圧迫して頭痛やふらつき、めまいなどを起こしているのでしょう。ぜひ川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)を試してみてください。またほてり、ふらつき、めまい等もあり、体が温まると起こる頭痛ということで釣藤散(ちょうとうさん)も有効です。ですから川芎茶調散合釣藤散が合っているでしょう。
他には悪心、嘔吐があり首すじからこめかみの凝りが強い人には呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、イライラ、怒りっぽい、不眠等、自律神経の高ぶる人の頭痛には抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)などがよく知られています。
さて頭痛は体全体の好調や不調のバロメーターとなるもので病気に対する赤信号でもあります。合成新薬の鎮痛剤を習慣的に使用するのは避けたいものですね。