Vol.141「糖尿病」

Q.全身の強い倦怠感に悩まされています。一日中続くだるさで、家事など何をするにもおっくうで、寝ても寝てもとれない眠気で頭がぼんやりし、車の運転にも集中できません。食欲も全く湧かず、無理に食事をとるのでしょっちゅう胸やけを起こしますし、食後は余計に体がだるくなりしばらく横になって休まないと動けません。またおしっこが出にくく、いつも残尿感があり気持ちが悪いです。2カ月前の健康診断で糖尿病、脂質異常症(高脂血症)と診断されました。
 体調が良くなるようご相談に乗っていただけますでしょうか?(40代女性)

A.糖尿病と脂質異常症は一般的には新陳代謝病と呼ばれ、特に糖尿病は国内で推定300万人以上と言われています。専門医でも自分の糖尿病に気付かないほど、自分では分からない病気です。進行すると自覚症状が現れてきます。やたらと口が渇く、いくら食べても空腹感がある、小便が濁る、体がだるく指先が痺れる、目が見えにくくなり焦点が合わない、皮膚が痒く化膿しやすいなどです。これらは血中糖が多くなり血液がドロッとし、毛細血管が詰まるからです。この糖尿病には遺伝的要素、自己免疫疾患からのインスリン分泌が少ないⅠ型と、肥満、精神的、肉体的ストレスからの抗インスリンホルモンによるインスリンの分泌低下のⅡ型に分けられています。治療は血糖コントロールと食事、運動等の生活管理が基本です。漢方では、全身状態の改善と合併症を引き起こさない体質づくりを目指します。これが何より大切です。
 今回のご相談の方は身長145cm、体重60kgでかなり肥満体です。強く訴えられているのが疲労、倦怠(けんたい)感、尿の異常、慢性的な眠気等ですね。それに加えて脂質代謝異常もあります。ぜひ大柴胡湯(だいさいことう)を使ってみてください。糖尿病を含め新陳代謝病によく効きます。もし便秘が強ければ防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)がいいでしょう。また慢性的な場合には古い血をきれいにする桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を併用するとなお効果的です。今回は大柴胡湯合桂枝茯苓丸がいいでしょう。症状によっては六味地黄丸(ろくみじおうがん)、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などもよく用いられます。繰り返しになりますが、糖尿病はさまざまな合併症を併発します。この予防が大切です。バランスの良い食事、十分な睡眠、毎日20~30分程度の運動をオススメします。そして自分に合った漢方薬を飲んでみてください。きっと良い結果が見えてくるでしょう。

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