Vol.140「子宮筋腫」

Q.生理時の不調に悩んでいます。
 生理が始まる前日から出血量の多い1日目、2日目にかけて刺すような強い腹痛と全身の倦怠感に襲われ、朝起き上がれないくらいつらい日もあります。3カ月ほど前から特にひどく、生理が近づいてくる度に憂鬱(ゆううつ)で仕方ありません。
 婦人科で診てもらうと、5㌢近くある子宮筋腫と診断されました。
 少しでも楽に過ごせるよう私に合う良い漢方薬はありますでしょうか?(40代女性)
 
A.子宮筋腫は発生場所によって3種類に分けられています。
①粘膜下筋腫……子宮の内側にでき、月経痛、月経過多がみられる。あまり大きくはならない。
②筋層内筋腫……子宮の筋肉内にでき月経痛、月経過多がみられる。
③漿膜(しょうまく)下筋腫……子宮の外側にでき、自覚症状はないが大きくなりやすい。
 一般的な症状としては月経過多、月経痛、帯下(おりもの)、不正出血、それに伴い貧血、筋腫の圧迫による頻尿、不妊などが多いようです。筋腫がよくみつかる年齢は30代後半から40代にかけてで、20才以下の若い女性にはありません。その原因は残念ながらまだはっきりと分かっていません。
 今回の御相談は子宮筋腫(筋層内筋腫)ですね。この筋腫は特に月経痛がひどく、生活が困難なほどの症状を月経困難症といいます。治療法はホルモンコントロール、部分摘出手術、全摘手術になりますが、漢方では子宮筋腫を血?(けつお)(滞った古い血液等)とみて活血化?(かっけつかお)し、子宮への血行を促してまず筋腫を石灰化し改善していきます。
 婦人科でもう少し様子をみていきましょうと言われたら、ぜひ漢方薬を試してみてください。御相談では出血過多と我慢できないくらいの痛みとのこと。冷え症から桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、便秘の時は桃核承気湯(とうかくじょうきとう)がいいでしょう。痛みがひどい時には失笑散(しっしょうさん)を、腫瘤が大きくなっているようならば山稜(さんりょう)・莪朮(がじゅつ)を配合します。ですからぜひ、桂枝茯苓丸合失笑散を試してみてください。
 これらの処方は他にも無月経、子宮内膜症、卵巣嚢腫の初期などに効きます。
 さて、子宮筋腫はあくまで良性の腫瘍で進行途中で悪性のがんに変わることはまれです。定期的に検査を行ってそれに基づく正確な診断と適切な治療が必要です。

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