Vol.130「肩・首の凝りつけ」

Q. 1年半くらい前から、首から肩にかけての激しい凝りつけと痛みに悩んでいます。何か用をしている時などは気が紛れるのですが、朝起き抜けから夜寝入るまで一日中痛くてたまりません。
 首を左右に振るとじりじりとしたな感覚があり、特に左側の凝りつけがひどく、左耳に違和感がありジーンジーンと耳鳴りも続いています。夜中に何度も起こるふくらはぎのこむら返りで気持ち良く眠ることもできません。(70歳女性)

A. 今回は首から肩にかけて激しい凝りつけと痛みが一日中続くということですね。昔から肩凝欧米人に比べて日本人は多いとていますが見た目より本人はつらいものです。これは肩、首周囲の筋肉の血流障害ですが、その原因はさまざまです。得に悪い姿勢、運動不足、ストレスが三大要因と言われていますが、間接的な要因としては慢性的な首から上の炎症(鼻炎、中耳炎、気管支炎、歯の病気など)、首の骨(頸椎や脊椎)の病気、内臓の病気、血行の異常などが考えられます。
 この女性(70代)の首から肩の凝りつけ(首、肩、関節の疼痛症候群)はおそらく首、肩関節の老化現象で筋肉や腱が硬くなって痛みが起こっているのではないでしょうか。
 病院での治療は神経根ブロック(神経に直接注射して痛みを和らげる)、ソフトカラー装着、間欠けん引、筋弛緩剤の内服などになりますが、治りにくい時にはぜひ漢方薬を試してみてください。この方の場合は肩関節周囲炎や顎肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)、寝違いなどに用いる疎経活血湯(そけいかっけつとう)がいいでしょう。また上半身のうっ血(血行障害)を改善して血流を良くする血府逐?湯(けっぷちくおとう)を併するとなお効果的です。他には神経を使い気苦労のために凝りつける人に治肩背拘急方(じけんぱいこうきゅうほう)、肥満、高血圧などの肩凝りに大柴胡湯、胃腸の弱い人の特に左肩の凝りと痛みに延年半夏湯(えんねんはんげとう)などがよく用いられます。
 明治を代表する女性作家の樋口一葉は慢性的肩凝り、頭痛に悩まされ、執筆中に絶えず鉄の文鎮で肩をトントンと叩いていたそうです。治肩背拘急方か葛根湯などが効きそうですね。

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