Vol.131「アトピー性皮膚炎」

Q.子どもの頃からアトピー体質ですが、特に昨年の末ごろから仕事での強いストレスがあり、ひどい皮膚のかゆみに悩んでいます。寝ている間にも無意識にあちこちかきむしり、朝起きるとシーツに血や膿がにじんでいることもしょっちゅうです。おでこや首回りが特に赤くカサカサしていて、笑ったり顔や首を動かす時のつっぱるような痛みがとてもつらいです。甘い物が大好きで、生クリームたっぷりのケーキなどおやつを食べた後にもかゆくなる気がするのですが、これも何か関係があるのでしょうか?(30代男性)

A.アトピーの語源はギリシャ語の「あちらこちら」「原因不明」「不思議な」という意味です。現在ではアトピー性皮膚炎はⅠ型のアレルギー反応であることが分かっていますが、皮膚科では抗アレルギー剤や副腎皮質ホルモン剤の対症療法がほとんどで、一時的に症状は和らいでも完治せず繰り返し皮膚炎が続きます。このアトピー性皮膚炎に限らず同じⅠ型アレルギーの鼻炎や蕁麻疹(じんましん)、気管支喘息(ぜんそく)、結膜炎などを治していこうと思えば、やはり過敏体質を内側から改善していかなければなりません。
 漢方では昔からアレルギーの過敏体質改善として柴胡(さいこ)、黄連(おうれん)、黄?(おうごん)、黄柏(おうばく)、霊芝(れいし)などの生薬が用いられますが、これらの生薬を配合した小柴胡湯(しょうさいことう)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)などの漢方薬が根本治療として有名です。また、皮膚表面がかき過ぎて二次感染を起こし赤くただれている時は黄連解毒湯(おうれんげどくとう)を、かき過ぎてジュクジュクし出血したり、手などにも水疱ができている時には消風散(しょうふうさん)を合方します。
 今回のご相談では、部位は顔、首、腕、膝。赤味が強く特に手首は寝ているうちにかいてしまうので、かき過ぎでタコができている。精神不安感が強く、深く眠れない。とのことです。この方には柴胡加竜骨牡蛎湯合消風散がよく効きます。またこの方は甘い物好きで、特に生クリームやチーズが好物とのことです。体質改善には油物や甘い物、炭酸飲料等を控え目にします。
 漢方治療でアレルギー(アトピー性皮膚炎等)が良くなれば、ほとんど再発しません。他のアレルギーも同時に改善されてしまうこともよくあります。1~2年ぐらいかけてじっくり取り組むことが大切ですよ。

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