Vol.129「腹痛・下痢」

Q.7年ほど前、子宮に腫瘍ができ摘出手術を受けました。手術はうまくいったのですが1年ぐらいして、たびたびお腹の調子が悪くなり悩んでいます。頑固な便秘が続いたり、反対に下痢になったりを繰り返し痛みがつらく一日中何も食べられないこともあります。仕事場が屋外での作業が多いため、下半身がとても冷えてお腹まで痛くなってもすぐにはトイレに行けません。性格は神経質な方で悩み事などがあると胃がムカムカし、しょっちゅう胸やけを起こします。少しでも体調が良くなるように、ご相談に乗っていただけませんか? (60代女性)

A.数カ月毎に吐き下しをし、便秘と下痢を繰り返し、同時に腹痛がつらくてお悩みということですね。この女性はとても神経が繊細で心配性な方です。今回のご相談は、「7年前の子宮に腫瘍ができ摘出手術を…」とは直接関係ないと思われます。
 一般に、普段から筋緊張傾向があり自律神経の失調で胃腸の緊張から発作的な痙攣(けいれん)性の腹痛が起こります。特に冷え、疲労、精神的原因などで誘発されます。この方は下半身が特別に冷えて、ひどい時はお腹まで冷たいと言われていますが、下肢の静脈血管の冷えが腹中まで及んで下痢やおう吐になったのでしょう。神経性過敏症の胃腸の上に、強い寒邪が胃や大腸・小腸を刺激していると考えられます。
 病名で言えば胃腸神経症、痙攣性便秘(コロコロ便)、過敏性結腸症候群と言えます。そこでこれらの症状には痙攣性を緩める芍薬の配合された桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)がよく効きます。また腹中に冷えを温める乾姜や甘草の配合された人参湯を併用するのが効果的です。ぜひ桂枝加芍薬湯合人参湯を服用してみてください。一カ月もしないうちに便秘もスムーズになり腹痛も和らぐでしょう。
 昔から「足は冷えに強く、腹は冷えに弱い」と言われます。冷えは万病の元ですね。

PAGE TOP