Vol.127「慢性疲労」

Q.ことしの夏ごろに体調を崩し、それ以降、一向に回復しないまま強い疲労感に悩まされています。少し体を動かすと動悸や息切れをするため、休み休み何とか日常生活を送っているような状態です。お風呂に入る元気さえなく、頭からフケが落ちるのもつらいし、夜眠りについた後も何度も目が覚めてぐっすり眠れません。もともと虚弱体質で子どもの頃からとても疲れやすく、暑さに弱く夏バテも毎年のことです。自律神経失調症ではと言われてお薬も飲んでみましたが、思うように良くなりません。
 何か私によい漢方薬はありますでしょうか? (50代女性)

A.今回のご相談は「慢性疲労」ということですね。
漢方では体の働きが弱くなった状態を「気虚(ききょ)」と言います。生命の源である「気」が弱くなると意欲がなくなり、体力が衰えて何事にも力が出ません。低血圧症、慢性頭痛、自律神経失調症、胃アトニー、脱肛、筋無力症、子宮脱など他にもさまざまな症状が現われてきます。また風邪にもかかりやすく、治りも遅くなり体がだるくて起きられないなどもよく聞きます。
 さてこの生命の「気」は漢方では「脾胃(ひい)(胃腸を含む消化・吸収する部分)」でつくられると考えています。
 代表的な漢方薬は六君子湯(りっくんしとう)類、人参湯(にんじんとう)類、建中湯類などですが、今回のご相談は「脾胃気虚(ひいききょ)」から「血虚(けっきょ)(貧血を伴う血流の不調)」が現われています。ですので処方は補中益気湯(ほちゅうえっきとう)(補気剤)合当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)(補血剤)が効くと思われます。ぜひ服用してみてください。この当帰芍薬散は、頭痛、手足のしびれ、筋の痙攣(けいれん)、むくみ、貧血、めまい、生理不順などの血の道症をよく治してくれます。服用して2~3カ月ぐらいで改善してくるはずです。
 かく言う私も子どもの頃から胃腸が弱く虚弱体質で成長しました。ですので体力が弱く、気圧が下がってくる雨の前日などは身の置き場がないほどの疲労感でいっぱいになります。
 今回のご相談者のお気持ちがよく分かります。

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