Vol.116「てんかん発作」

Q.娘の事で相談なのですが、数年前から口元が勝手に動いたり倒れて白目をむくなど、てんかん発作に悩んでいます。初めのうちは発作を起こすのは夜中だけだったのですが、最近では昼間にも、特に仕事中に頻繁に起こすようになり心配でたまりません。病院で内服薬をいろいろ試しているのですが、なかなか症状が安定するものが見つからず、漢方薬で何かよいお薬を頂けないかと思いご相談に伺いました。

A.今回のご相談は「てんかん発作」ですね。
 「てんかん発作」は中枢神経の全体または一部が異常興奮し、けいれんなどの発作を繰り返す病気です。大発作(突然の意識消失とともに強直性・間代性けいれん、昏睡などで回復するのに約30分)と小発作(顔面、四肢などに律動的けいれん、数秒から20秒ぐらいの意識消失)、さらに精神運動発作(朦朧感や自動症があって意識消失はない)などに分類され、その症状に合わせて抗てんかん薬が使い分けられます。しかし脳神経細胞の異常な興奮を抑えることを目的としているため、さまざまな副作用も現れます。
 ご相談の方は数年前から口元が勝手に動いたり、倒れて白目をむく発作が月に1~2回、今では夜ばかりでなく昼間、仕事中にも起こったりするということですね。特に夏は毎日のように調子が悪かったとのことです。
 さて漢方では「脳」に起こる病気を心(しん)の病、自律神経に起こる病気を肝の病と考えます。ですので「心・肝」の興奮の甚だしいものを鎮静化させ、また諸けいれん症状を緩解させる漢方薬を処方します。最もよく用いられるのが甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)と抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)です。目標はヒステリー、神経衰弱、ノイローゼ、夢遊病、そううつ病などで、精神病(心気)を伴うてんかん病のけいれんには養心安神剤の甘麦大棗湯がいいでしょう。また神経刺激症状(肝気)が激しく、一般に癇(かん)が強く不眠、チック、小児夜啼、ひきつけ、パーキンソン病などを伴うてんかん病のけいれんには平肝熄風剤(へいかんそくふうざい)の抑肝散加陳皮半夏がよく用いられます。
 今回のご相談の場合は、この2処方を合方して抑肝散加陳皮半夏合甘麦大棗湯がよく効くと思われます。またこれらの漢方薬を長期に続けますと、けいれん体質も改善されます。てんかん病でお困りの方はぜひ漢方薬を試してみてください。

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