Vol.115「アレルギー性顔湿疹」

Q.数年前から頬や顎の辺りにぷつぷつと湿疹ができ、ムズムズ痛痒く悩んでいます。ピーリングをしてみたり、皮膚科でもらったビタミン剤を飲んだりといろいろ試してみましたが、あまり効果がありません。首周りもヒリヒリ、チクチクして痒く、見た目にもかいた痕が醜く残って気になります。何か良い漢方薬はありますか。(30歳女性)

A.私たちの体内には白血球(リンパ球と顆粒球)が絶え間なく働き続けて外敵から身を守ってくれていて、この顆粒球とリンパ球は自律神経で調節されています。このうちリンパ球(IgEやIgAなど)が乱れ、過敏に働き過ぎ自分の体を内から攻撃し、炎症や血管出血を起こすのがアレルギー反応です。
 アレルギーにはⅠ型(IgE)からV型まであり、気管支喘息(ぜんそく)、蕁麻疹(じんましん)、鼻炎、アトピー性皮膚炎、紫斑病、リウマチ、膠原病(こうげんびょう)など自己免疫疾患、橋本甲状腺炎、バセドウ病などが知られています。漢方では、抗アレルギーの生薬として柴胡(さいこ)、黄連、黄?(おうごん)、黄柏(おうばく)、霊芝、人参などが知られていて、これらの生薬を組み合わせて漢方薬を選びます。
 さて今回のご相談者は30代の女性で、アレルギー体質で顔湿疹を数年繰り返しているとのことですね。この方には黄連、黄?、黄柏の配合された温清飲(うんせいいん)がいいでしょう。また、繰り返す湿疹体質改善には和歌山が生んだ有名な漢方医、華岡青洲先生が発案された十味敗毒湯がいいでしょう。今回は温清飲合十味敗毒湯がよく効くと思います。また、お顔の湿疹以外にアレルギー性鼻炎や喘息、蕁麻疹などもよく起こすようですと、温清飲ではなく柴胡、黄?が配合された小柴胡湯が有効です。
 若い女性では高温期に湿疹が出やすく生理が始まると少しずつ治まりますが、これはホルモン分泌の変化に伴う過敏神経によるアレルギー湿疹で、数カ月も服用を続けますとほとんど改善されていきます。更年期の女性に出る顔湿疹はこれです。
 さて、女性に限らず男性も顔の湿疹は気になるところです。病院や薬局で軟膏や抗生物質等で治り切らない時は、漢方薬を試してみてください。顔だけでなくアレルギー体質そのものを改善しましょう。

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