Vol.108「ひざ関節の痛み」

Q.(63歳女性)年齢のせいもあってか、2~3年前からひざ関節の痛みに悩んでいます。最近では特に階段を下りる時がつらくて、痛みで正座も出来ません。病院で水を抜く注射と痛み止めの薬を飲んでいますが、しばらくするとまた痛みを繰り返します。農家なので足腰を使う作業が多いのも原因でしょうか。サプリメントも1年程続けてみましたが、あまり効いていない様に思います。こんな症状に効く漢方薬はありますか。

A. 年齢を重ねると多かれ少なかれ体にある68ヶ所の関節が弱ってくるものですが、特に一番よく使うひざに、多く関節炎が起きるようです。現在、変形性膝関節症の患者さんは1千万人、予備軍を加えると3千万人と言われています。
 特に50代以後の女性に多くみられるのは女性ホルモン、エストロゲンの減少による骨生成の悪化が原因と考えられています。 はじめはひざのこわばり感で、すこし歩けば自然に戻りますが1~2年程すると立ち上がる時や階段を下りる時、正座する時などに痛みを感じるようになります。
さらに進行して中期になりますと痛みが強く曲がらなくなり、腫れて水がたまるようになります。末期には骨棘が神経を刺激して歩くのが困難になり、足が痩せ関節が変形してO脚になってしまいます。
さて漢方では、ひざ囲りの溜った余分な水毒や血瘀をとって筋肉、じん帯、軟骨を強化して栄養を補い、温めながら血液循環をよくして痛みを和らげていきます。今回は63才女性ということで漢方薬は肥満やむくみによく効く防己黄耆湯や独活寄生湯がいいでしょう。早ければ1~3ヶ月ぐらいで治ってしまいます。もし冷え症が強ければ桂枝加苓朮附湯を、また足の引きつりやしびれ、むくみを伴う時には疎経活血湯の併用が効果的です。漢方ではひざの骨だけでなくひざ囲りや足全体をみて治療してゆきます。
さて、最近高齢者に限らず若い人の中にもひざの痛みを訴える人が多くなってきました。これは車社会やイスの生活が中心になってきたからではないでしょうか。

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