Vol.100「目・黄斑部変性症」

先日、知り合いの女性から「網膜静脈閉塞症で困ってるので、何かいい漢方薬ないでしょうか?」との問い合わせがありました。年齢とともに体に不調が多くなりますが、特に歯や目に関するお悩みが圧倒的です。
今回は「糖尿病性網膜症」と並んで近年最も多い失明原因とされる「黄斑部変性症」についてのお話しです。最近よく耳にする病気ですね。自覚症状としては見ようとするものがゆがんだり、中心がぼやける、視界が狭くなる、さらに進行すると徐々に視力が低下してゆきます。この黄斑部変性症は50歳を過ぎた頃から見られ60~70代が最も多くなる眼の病気ですが、今まで何もなく視力もよかったのに突然発病する例が多いようです。一般的に男性の発症率は女性の約2倍と言われています。
さて原因は、目の網膜の中心部にある直径2ミリ程の「黄斑」部が老化により機能低下するためです。これは眼球の「網膜」にある毛細血管の流れが悪くなると網膜細胞の酸素と栄養が不足し、新しい血管が生じます(血管新生)が、この若い血管の壁はとても薄くてすぐ破れて出血します。この出血が繰り返し網膜の中へと漏れ、浮腫を引き起こし視力が低下してゆきます。これが主な原因です。他には紫外線による活性酸素の影響も考えられます。治療法はレーザー光線、手術等ですがリスクも多く、これといった決定的な治療法はありません。病院治療をしながらも悪化進行するケースがほとんどです。
さて漢方では目の病気とは言ってもその人の体全体の気血の流れの悪化とみて、体の血行を改善すると同時に首から上(目や耳や鼻)への毛細血管を強化し、よどんだ古い血(血瘀)や痰(溜った水分)をきれいにしてゆきます。

それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

〇血府逐瘀湯・・・・慢性的に反復する出血(鼻出血、眼底出血、紫斑病等)、色素沈着、小血管の拡張、静脈の怒張、各腫瘤などの血瘀体質改善に。
〇越婢加朮湯・・・・利尿効果を利用して黄斑部の炎症、むくみを消失させる目的で用います。
〇芎帰調血飲第一加減・・・・出血後に残る滲出物や古い血を吸収、排泄する目的で用います。 
〇竜胆瀉肝湯・・・・亜急性期の眼球毛細血管からの出血の止血の目的で用います。

 アメリカ人の失明の第一の原因がこの黄斑部変性症ですが、最近は日本人に非常に多くの人が増えつつあるようです。何か食生活も関係しているようです。また現代はパソコン、スマホ時代。
眼を休ませてあげたいですね。

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