Vol.99「体臭と腋臭(わきが)」

日本各地で梅雨入り宣言が出されました。これから夏に向けて汗ばむ季節です。今日は気になる「体臭と腋臭(わきが)」のお話です。
私達の皮膚表面は皮膚に潤いを与える皮脂腺と汗を分泌するアポクリン腺(毛根の入り口近くに多く粘り気のある汗)とエクリン腺(体温調節や精神状態によって大量に分泌されるサラッとした汗)があります。この汗と皮脂が混ざり合って私達の皮膚を守る皮脂膜ができていますが、この皮脂膜には皮膚常在菌が住んでいます。
皮脂や汗は分泌された時はほぼ無臭ですが、時間が経つとこの細菌に皮脂膜の脂質やタンパク質、アミノ酸、アンモニアなどが酸化・分解されて不快な臭いのガスを発生し、これが体臭や腋臭(わきが)となります。特に腋臭(わきが)は汗腺のうちのアポクリン腺から出る汗によります。わき毛は汗を留める役割があるため、そこに溜った汗に細菌が繁殖し、より強くにおいを発生するのです。 ちなみに、欧米の70~100%に対して日本人は10人に1人が腋臭体質と言われてきました。しかし近年、野菜や魚中心から肉類や高脂肪、高カロリーの食生活が増えるにつれ、日本人の腋臭体質も強くなっていると言われています。
一般的にはわき毛に白い粉状のものがついている場合にはほぼ間違いなく腋臭体質といえます。これはアポクリン腺からの分泌液が結晶化したものです。現在の治療法は軽度なら塩化アンモニウムや臭化プロバンテリンなどの制汗剤、中度ならレーザー脱毛、重度なら手術となります。
さて、この体臭、口臭、わきがには昔からとっておきの民間薬、クマ笹の搾り汁があります。笹汁は抗菌作用が強く、昔は旅人のおにぎりの包みに用いられ食べ物が腐りにくいように工夫されていました。また臭いの成分を吸着してくれるので、口臭や体臭にも用いられてきました。漢方では体臭やわきがは痰瘀と考え、血液や体液をきれいにして体質改善を目指します。

それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

〇防己黄耆湯・・・・疲れやすく汗のかきやすい人で、肥満(水太り)、むくみ、多汗症体質の人に。
〇大柴胡湯・・・・体力がある人で常習便秘、高血圧気味で肩こり、頭痛、便秘、肥満(脂肪太り)タイプの人に。
〇防風通聖散・・・・腹部に皮下脂肪が多く便秘がちで、副鼻腔炎や吹き出物、皮膚炎体質の人に。

「わきがは俺に任せろ!!」なんて広告している病院もよく目にします。命に別状はなくても体臭、わきがで悩んでいる方は多いですね。

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