Vol.98「無月経」

少子高齢化がさけばれて久しくなりますが、最近は結婚年齢が遅くなり赤ちゃんが欲しくてもなかなか妊娠できないカップルも多いようです。 「無月経」もその大きな要因です。今回はこの「無月経」についてお話しします。
生まれてから一度も月経がないことを原発性無月経といい、一度は来たものの後、3ヶ月以上停止している状態を続発性無月経と呼びます。
一般的に無月経と言えば、この続発性無月経のことです。器質的には女性ホルモンの関係する視床下部や脳下垂体、卵巣、子宮などの働きが低下して発症するのですが、その原因として考えられるのは摂食障害やダイエットなどでの急激な体重減少(体脂肪率18%以下)、子宮内膜症(子宮内癒着)、長引くストレス、多嚢胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症、シーハン症候群(出産時の大量出血の後遺症)などがほとんどです。
婦人科での治療は月経を起こす女性ホルモン製剤、妊娠の成立を目指す排卵誘発剤、プロラクチン降下剤などが基本ですが、体重調節、手術なども必要に応じて行われます。しかし妊娠の成立が極めて難しい、又は不可能な場合も多いようです。この外部からのホルモン補充治療法でなかなか結果が出ない時はぜひ漢方薬を試してみて下さい。
私達の体のあらゆる所に気血(栄養分)の運行のために「経絡」という通路が張りめぐらされていて(十二正経・八奇経)、特に子宮には腎からの任脈・督脈、肝からの衝脈が直接連結され、非常に深い関係にあります。冷え、瘀血、ストレス性気欝、貧血、水毒(肥満)などがこの経絡の流れを妨げる大きな要因となっている場合が多いので、それぞれを改善してゆきます。またホルモンは腎でつくられていますので、補腎して腎の働きを強化します。生理不順や無月経症などの「血の道」症には漢方薬はとてもよく効きます。
それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

・温経湯・・・・下腹部や腰の冷えと疼痛、しびれなどで、月経の遅延あるいは過早、月経過多あるいは過少、不正性器出血、あるいは無月経、不妊症など。
・桂枝茯苓丸・・・・冷えのぼせ、肩こり、頭痛などを伴い、月経不順、月経痛、月経異常を訴える瘀血体質改善に。
・当帰芍薬散・・・・体力虚弱で貧血のめまい、肩こり、頭痛、耳鳴りなどの血の道症を訴える人の月経不順、月経痛、無月経に。
・鹿茸大補湯・・・・代表的な補腎薬です。体が冷えていつも寒がり体力がなく慢性的な疲労感、低体温症などに。

「血の道」症は昔も今も女性にとっては悩みの種ですね。

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