Vol.84「脊柱管狭窄症(腰痛)」

 最近はテレビなどの健康番組で色々な病気が取り上げられ、著名な医師が出演し、丁寧に解説してくれていますね。その一つに骨の病気からくる腰痛の話題がありました。今回はこの脊柱管狭窄症のお話しです。
 私達の背骨は椎骨という骨が積み重なってできていますが、その中心の管状の空間には神経やそれに伴走する血管があります。この部分が圧迫されると神経が障害され、腰痛や下肢のしびれ、痛みなどを起こしますが、これを脊柱管狭窄症と言います。
原因は、年をとることによる椎間板の硬化やそれに伴う椎間関節や周囲組織の変性からのすべり症がほとんどです。特徴的な症状としては間欠跛行で普段は何ともないが、数分歩くと足がしびれたり痛くなったりして歩けなくなり、前かがみで休むとまた歩けるようになるといった具合です。他には足先が持ち上がらない、階段でつまずく、足に力が入りにくい、さらに悪化すると歩行時に尿意を促すなどの排尿障害や便秘などの異常も起こるようです。
足の症状だけで腰痛は全くない場合もあります。
またこの間欠跛行は閉塞性動脈硬化症からもみられますが、これは下肢への血行不良で腰部の姿勢とは関係ありません。
治療法は保存療法が中心で、痛み止め、筋弛緩薬、ビタミン剤などの内服、温熱、超音波、体操、けん引などの理学療法、神経ブロック注射などを症状にあわせて用いられます。
 さて漢方では、特に「腰は腎の府」「腎は骨を主る」とされています。ですので腎の陽気(体を温める働き)を附子、乾姜などで高めて腰の骨や神経、筋肉を柔らかくし、血行をよくして痛みを治してゆきます。
高齢になってくると下半身の筋力が弱くなりますが、このことも脊柱管狭窄症の大きな要因の一つです。骨を支える筋肉を鍛える運動療法で痛みを軽くすることも大切です。

 それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

麻附細合桂枝加苓朮附湯(まおうぶしさいしんとう)・・・・・・ひきつるような強い痛み、寝返りが打ちづらい、冷えると悪化、温めると楽など。

薏苡仁湯(よくいにんとう)・・・・・・・・・・・・・腰から下肢への持続性鈍痛、冷えると悪化、足腰が重だるい。

温経湯合五積散(うんけいとうごうごれいさん)・・・・・・・・・・冷えると痺れや痛みが強く、四肢の強い冷えや内股の足の付け根、鼠蹊部の痛みなど。

疎経活血湯(そけいかっけつとう)・・・・・・・・・・・長引く下肢の痺れや痛み、刺す様な痛み、夜に特に痛くなる。

年齢とともに多かれ少なかれ足腰は弱くなります。鍛えましょう。

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