Vol.83「アレルギー性紫斑病」

 風邪をひいて扁桃腺や副鼻腔炎を起こした後に突然、腹痛やむくみ,関節痛,血便,血尿,出血斑が現れ、特に反腹する強い腹痛,嘔吐に悩まされ、入退院をくり返すような病状は、アレルギー性紫斑病と考えられます。これは皮膚,関節,消化器,腎臓などの血管が炎症を起こし血液が漏れる病気です。
 5才~15才に多く、手や足の関節が痛んで歩行困難になることも少なくありません。また約半数は尿異常から腎臓病が認められ、紫斑性腎炎と言われます。
ほとんどは発症して数ヶ月間、病状をくり返した後、次第に安定してゆきますが、長期的な問題の多くはこの慢性腎臓病です。原因は感染症,薬剤,食べ物,昆虫などからのIgA抗体の異常と関係しているのではと考えられています。治療法は、現在現れている症状に対する緩和療法で、薬では抗生物質,止血剤,ステロイドホルモン剤,抗アレルギー剤,鎮痛剤などその症状に合わせて使用します。しかしこれといった決め手になる特効薬はありません。このアレルギー性紫斑病にかかった子供さんもつらいものですが、親は大変な心労を感じて生活しなければなりません。
 さて漢方医学では、止血や消炎,健胃などで症状の改善をもちろんですが、本治はアレルギー体質そのものを治すことを目指します。ちなみにアレルギー体質の人は神経過敏症で胃腸虚弱,低体温の人が多いようです。ですので附子,桂枝,乾姜などの薬草で体を中から温めて免疫力を高め、柴胡,黄芩,芍薬などで神経過敏体質を改善してゆきます。
 最近テレビや雑誌で、体の免疫力は腸内フローラ(腸内の1000種類にも及ぶ細菌のお花畑)が言われていますが、漢方でも脾胃(胃腸)は免疫力の第一とみています。胃腸の強い人は病気にかかりにくいですよね。
 それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)・・・・・・・・老人や虚弱者で冷えやすく、抵抗力の弱い人の体質強化に。

小柴胡湯(しょうさいことう)・・・・・・・・・・・アレルギー体質改善の代表薬。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)・・・・・・・イライラ,不眠,不安などで不安神経症,強迫神経症,アレルギー体質改善に。

小建中湯(しょうけんちゅうとう)・・・・・・・・・・・体力虚弱で時々腹痛があり、疲労倦怠感を訴える小児虚弱体質改善に。

アレルギー体質が非常に多くなってきたのは環境の変化とストレス社会が原因でしょうか。

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