Vol.76「狭心症・心筋梗塞」

 日本では死因の1番が「がん」で、2番目が心臓病です。実際「心臓に不安があって血圧の薬を長年飲んでいます」という声を店頭でもよくお聞きします。今回はこの心臓病についてのお話です。

私たちの心臓は心筋という特別な筋肉でできていて、手足や体の筋肉とは全く違った機能を持っています。一つひとつの筋肉が自ら自動収縮する力を持ち、一日に約10万回程度拍動してほぼ8000リットルの血液を全身に送ります。

この心筋細胞自体は代謝せず、一生同じ細胞が働き続けます。これほど頑強な心筋ですが、この心筋に栄養を送る冠血管が狭くなり血液が流れにくくなった状態を狭心症、血栓ができ、つまって心筋が壊死した状態を心筋梗塞としています。また、これらをまとめて虚血性心疾患と呼んでいます。

狭心症は労作性狭心症、安静時狭心症、夜間狭心症などに分類されていますが、ほとんどは胸から喉にかけての痛み、放散痛での左肩から腕、みぞおち、背中などの深い所に痛みが起こります。痛み方はもやもやした軽い痛み、締め付けられるような痛みなど強弱さまざまで、だいたい5~6分続きます。これが心筋梗塞になると、突然の激しい痛みが30分以上続き、締め付け感、圧迫感、灼熱感、けいれん、時には意識を失ってしまうこともあります。

これは左心室の壊死によるもので、死亡率が40%、そのうち70%は発作時1~2時間で亡くなるという大変危険で急を要する病気です。

この虚血性心疾患の直接の原因となる動脈硬化を引き起こす因子として6つの要因が言われています。高血圧、高コレステロール血症、肥満、糖尿病、ストレス、疲労などです。さて、治療は現代医学では発作期と緩解期に分けて行われますが、漢方医学でも同じ方法をとります。それでは代表的な漢方薬をご紹介しましょう。

瓜呂薤白白酒湯(かろがいはくはくしゅとう)…みぞおちから心臓にかけての痛み、あるいは左肩や左腕などへの放散痛、また少し激しく動くと心臓が痛んで呼吸が苦しくなるような人に、長期的に用いて致命的な心筋梗塞を防ぐ。

炙甘草湯(しゃかんぞうとう)…動悸(どうき)、息切れ、心悸亢進、狭心症を発症しやすい人の予防、体質改善に。

六神丸(ろくしんがん)…発作が起こりそうな時の予防に。また毎日少量飲んで体質強化に。

狭心症・心筋梗塞の発作は冬だけでなくいつでも起こります。発作時は慌てずに安静を保つことが第一です。

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