Vol.75「むくみ」

 ご相談のお客さまが「昔から体がむくみやすくて、鼻炎の頃は顔まで腫れてしまいます。尿は回数が少なく汗はあまりかきません。特に朝夕、手足がむくんでだるくてツライです。何とかなりませんか」とおっしゃいます。今回はこの「むくみ」のお話です。

むくみは医学用語では浮腫と言いますが、体内に水分がたまった状態です。原因はさまざまですが、腎疾患、肝疾患、心臓疾患、老人性疾患それに更年期障害や妊娠中毒症などからも起こります。

治療法は原因となる病気の治療が第一ですが、むくみのもとである塩分と水分の制限が必要です。 軽いむくみであれば一日3~5㌘の減塩食を続けるだけで治りますが、重病のむくみは利尿剤を使用します。しかし副作用を最小限に抑えるために、服用中も塩分制限は必要です。

さて、漢方ではむくみを「水毒」と呼び、体内の水分の代謝がうまくいっていないことから起こるとされています。おおまかに2種類あり、指で押すとへこみがすぐに戻るタイプ(陽水)とすぐに元に戻らないタイプ(陰水)に分けて判断します。いつも言いますが、漢方では体全体をみてお薬を決めますので、むくみという症状と、それのもとになる病気を合わせて考え、処方されます。

例えば、月経前のむくみには血の道のめぐりをよくする当帰芍薬散、老人性のむくみには腎の血行をよくする牛車腎気丸、心疾患には木防已湯といった具合です。また民間薬としては夏のウリ科の野菜や植物はほとんどが利尿作用をもっています。キュウリ、スイカ、カラスウリなどどれもむくみには有効です。

それでは、代表的な漢方薬をご紹介します。

木防已湯(もくぼういとう)…強いむくみで尿の出が悪く、口や喉が渇く人で腎疾患や心臓疾患のむくみに。

分消湯(ぶんしょうとう)…尿の出が悪く腹水のある時に。

五苓散(ごれいさん)…下痢、嘔吐(おうと)などがあり尿の出が悪く、口が渇き汗がたくさん出やすい人のむくみに。

防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)…太り気味で、多汗症、膝に水がたまりやすい人のむくみ体質に。

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)…四肢が冷えやすく下肢痛、腰痛などを伴う排尿困難、頻尿、むくみに。

越婢湯(えっぴとう)…アナフィラキシーやじんましんなどで急性の炎症性の腫れやむくみに。顔面から全身に及ぶ胸水や関節内水腫にも用いる。

このお客様には体を温めて血行を促し、水分の巡りを良くする麻黄附子細辛湯を「尿を我慢しないでくださいね」と言ってお渡ししました。

さて、風邪や疲労からくるような一時的なむくみは心配ありませんが、慢性的に続くむくみは時には内に隠れた病気もあります。軽くみてはいけませんね。

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