Vol.74「アレルギーⅡ」

以前にもアレルギーのことをお話ししましたが、今回は続編ということでもう一度アレルギーのお話をします。

このアレルギーという言葉自体が知られるようになったのは昭和30年ごろで、近年では10人に1人は治療を要し、病院に行くほどではない人を含めると3人に1人ぐらいあるだろうといわれています。

原因は、食生活や生活様式の変化,大気汚染、ストレスの多い生活などが影響しているものと考えられています。また、かつての3大アレルゲンだった卵、牛乳、大豆から小麦、カニ、エビ、果実など、多種多様に広がる傾向があり、症状もアナフィラキシーなど重症化しつつあります。

そもそもアレルギーはアレルゲンが体内に侵入すると、それと戦う抗体(IgE)が作られます。このIgEは、再び侵入したアレルゲンと結合し抗原抗体反応を起こします。このとき過剰にヒスタミンを放出してかゆみ、炎症が現れるのです。これが鼻炎、喘息、結膜炎、アトピー性皮膚炎、じんましん体質となります。そばで見ていると、それぞれのアレルギー症状は本当につらそうです。

現在、西洋医学での治療はアレルゲンを身の周りから取り除く,アレルゲンを少しずつ注射する減感作療法、抗ヒスタミン剤や副腎ホルモン剤などの内服や注射などです。しかし、どれも決定的な治療法とは言えないようです。

さて漢方医学では、いつも全体を考えた治療になります。

かゆみや炎症を抑える標治と同時に、特にアレルギーには附子、桂枝、乾姜(かんきょう)などの生薬を用いて体を中から温め、柴胡(さいこ)、オウゴン、芍薬(しゃくやく)などで過敏神経体質を改善していきます。アレルギー体質でお悩みの方は、ぜひ漢方薬を試してみてください。よい結果が得られるはずです。

それでは、代表的な漢方薬をご紹介します。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)…アレルギー性鼻炎や気管支喘息の代表薬でくしゃみ、鼻水を連発するような人に。

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)…じんましん、湿疹を繰り返す慢性的なアレルギー体質の改善薬に。

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)…老人や虚弱者で冷えやすく,抵抗力の弱い人の体質強化に。

小柴胡湯(しょうさいことう)…アレルギー体質改善の代表薬。

アレルギーの症状自体は古代エジプト時代の記録にもみられるそうです。

それほど古い病気がなぜ、現代の文明病となって現れているんでしょうかね。

PAGE TOP