Vol.72「女性の顔湿疹」

最近、テレビCMや広告などで一番派手なのが化粧品のように思います。女性はいつの時代も、いくつになってもお顔のことには敏感ではないでしょうか。「うわ~すごい!」とか「信じられなぁい!」とか。使用前と使用後の顔写真のあまりの違いに、あ然とさせられる時があります。

今回はこの顔にできる湿疹、シミなどの店頭相談です。「友人に聞いて来たんですが、この顔の湿疹とシミ治りませんか? 10年ぐらい前から悩んできました。病院にも通いましたが、よくなるどころか年々ひどくなってきて…」と、おっしゃいます。見ますと、目の周り、顎から耳の辺りまで炎症と湿疹が多数あって、一部はニキビのように化膿(かのう)しています。また、血ぶくれのような口内炎もよくでき、汗かきで生理不順とのことです。

さて、この生理疹は高温期に発症し、生理が始まる低温期には治まっていくものですが、慢性化するとそのまま引かなくなってしまいます。病院では抗生物質の軟膏や抗アレルギー剤の内服を出されますが、あまり効果がみられないようです。

こと女性の生理疹はホルモンの乱れが大多数です。漢方ではホルモン系は腎(副腎)に属し、その働きは肝(自律神経)がつかさどると考えています。ですので、肝・腎を補い全身の気・血・水の流れをよくし、?血や水毒を去り生理痛や生理不順を整えることを目指します。そうすると同時にむくみや頭痛、冷え性なども改善される人も多くいます。ちなみに、女性ホルモンは夜の11時~2時頃に多く分泌されるそうで、睡眠不足や長引くストレスで乱れやすくなります。

それでは、顔湿疹によく効く代表的な漢方薬をご紹介します。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…冷えのぼせ、肩凝り、頭痛、めまい、生理痛や月経異常のある、いわゆる?血体質の人に。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)…体力が弱く血行が優れず、めまい、貧血、冷え性の人。妊娠中に発生したシミにも効きます。

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)…赤く隆起した湿疹、かゆみに。急性、慢性両方に最もよく用いられる。

加味逍遥散(かみしょうようさん)…疲れやすく、更年期や生理時のイライラ、不眠、精神不安などの血の道症の人。

病気の性質が合えば漢方薬は驚くべき効果があります。数千年の先達の知恵と経験による漢方薬は本当に素晴らしいです。

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