Vol.71「バージャー病(閉塞性血栓血管炎)」

さて今回は、特に寒くなると足に障害が出やすいバージャー病のお話です。聞き慣れない病名ですが、日本語でいいますと閉塞性血栓血管炎となります。

よく、坐骨神経痛と間違えて整骨院や整形外科などの治療を受けてもよくならず、悩んでいる方も多いようです。症状としては、マーケットなどのクーラーでよけい痛む▽足の一部がしびれ痛い▽少し歩いた後痛くなり、さすると楽になる(間結性破行)▽足が氷のように冷たい――などと訴えられます。

これらは、骨や神経ではなくて血管の炎症からの病気です。血管内空の狭窄や血流の停滞が起こり、血栓を形成し血管が閉塞してしまうのです。ですから寒くなると痛みが増し温めると楽になります。

このバージャー病は活動期と静止期を交互に繰り返し、悪化すると足先が黒化し壊死(えし)してしまうこともあります。糖尿病もこれに似ていますが、これは過剰の血糖が微小血管を詰まらせて血流を止めてしまうからです。

西洋治療法は末梢血管拡張薬、抗凝血薬、血栓溶解薬の投与になります。痛みは幾分和らぐようですが、根治に至らない人が多いようです。

さて、漢方ではどんな病気でも、いつも体全体を診てお薬を決めますが、特に今回のバージャー病には優れた効果があります。附子や乾姜、桂枝などの生薬を用いて、下肢静脈などの血管を温め?血を去り末梢循環を改善しながらしびれや痛みを治していきます。ぜひ一度、漢方薬を試してみてください。

それでは代表的な漢方薬をご紹介いたします。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅうしょうきょうとう)…足が冷えると痛み、氷のように冷たい。寒くなると痛みが増し温めると楽になる。数分歩くと痛み出し、休めてさすると楽になる。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…足が冷たくしびれて痛い、痛む所が一定している。皮膚が乾燥して筋肉が委縮している時。

当帰芍薬散合黄連解毒湯(とうきしゃくやくさんごうおうれんげどくとう)…足の腫れ、痛み、少し歩いただけで激しく痛む、皮膚の色が赤黒くなっている時。

十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)…慢性化した局所の組織回復に。

年齢とともに、関節や神経、筋肉も弱くなり、歩くことが少なくなると内臓の働きも低下するといわれています。最近は平均寿命より健康寿命を重んじるようになってきました。足を鍛える心掛けが大事ですね。

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