Vol.70「糸球体腎炎」

今回はこの腎炎のお話をします。

私たちの腎臓は皮質と髄質に分かれます。この皮質にあるたくさんの糸球体は血液をろ過し、一日に約150㍑の尿をつくりますがその99%が尿細管から再吸収され、全身をめぐる津液となります。この糸球体に炎症が起こると血尿やタンパク尿、むくみ、高血圧などの異常が生じます。

これが糸球体腎炎で、一般的に腎炎と呼ばれています。またネフローゼ症候群と言われるのは、腎炎のため多量のたんぱくが尿中に出てしまい血中たんぱくが欠乏するので、むくみなど他のいろいろな病気を併発した状態です。

発症して1年以内に治るものを急性腎炎と言います。4~6歳の小児によく発症し、年齢が高くなるにつれ、かかりにくくなります。 

これに対し、慢性腎炎は急性腎炎からの発症と、原因がはっきりしないまま進行してしまう場合とがあり、血尿やたんぱく尿以外には自覚症状のない潜在期、尿の異常に加えて高血圧やむくみが現れる進行期、腎臓の機能が正常の半分以下になり、貧血や頭痛、吐き気などが現れる腎不全期、さらには尿毒症へと進みます。

他には糸球体の中に血清たんぱくが沈着するIgA(免疫グロブリンA)腎症や、最近非常に多くなっている糖尿性腎症(糖尿のため糸球体が硬化して腎炎になる)があります。治療法はいずれも食事療法が中心で、塩分やたんぱく質を制限します。

さて、漢方では血中クレアチニンやBUN(尿素窒素)を排出するために水毒をさばくことを第一とします。また慢性期には体全体の気、血、水が滞らないように血行促進を中心に考え、体を温める薬方を用います。腎臓への血行をよくするのです。それでは代表的な漢方薬をご紹介しましょう。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)…急性腎炎のむくみに五苓散、猪苓湯などと併用します。

柴苓湯(さいれいとう)…初期から中期の慢性腎炎に用います。

附子人参湯合五苓散(ぶしにんじんとうごうごれいさん)…強い冷えを伴う後期の慢性腎炎に、腎の陽気を補う目的で用います。

分消湯(ぶんしょうとう)…むくみが強い急性腎炎によく効きます。他の頑固なむくみにも有効です。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)…慢性腎炎で体力がなく疲れやすい時に。

慢性腎炎は非常に難しい病気で保存療法が中心ですが、漢方治療によって好転することも多く、根治の例も少なくありません。病院治療に併用してみてください。

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