Vol.31「歯肉炎と歯周病」

「リンゴをかじると歯ぐきから血が出ませんか?」のテレビコマーシャルを皆さんもよく耳にしたと思います。また最近は「うれたトマトのようになっている歯ぐきには…」などと、嫌なCMも流れていますね。今回はこの歯肉炎、歯周病を取り上げます。

歯周病は、歯そのものではなく歯を支えている歯槽という部分の病気です。歯槽骨はいったん壊れてしまうと再生は難しく内服治療で治すことはほとんど不可能です。慢性的に進行すると歯肉が腫れて痛み、膿や出血があり歯がぐらついて抜歯しなければならないこともあります。言うまでもなく歯科の治療が必要です。自覚症状としては①歯ブラシ時の歯ぐきからの出血②口中の粘り口臭③歯ぐきがたびたび腫れて痛む④歯と歯のすき間があき、歯並びが悪くなる⑤かたい物を食べると歯ぐきが痛む⑥あごやこめかみに疲労感や痛みがある⑦歯がぐらぐらするなどが見られ、このうち一つでも症状があれば、歯周病が進行していると言えます。

さて原因は歯の手入れ、歯石、不適当な義歯などと言われていますが、大部分は体質的な因子です。特に免疫力の低下、血液循環不良、慢性胃腸病など半病人体質の人に多く見られます。治療と予防は、何といっても歯ぐきのマッサージです。漢方では、これに加えて体質そのものを改善して体全体を強くします。それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

排膿湯(はいのうとう)…歯ぐきが赤く腫れ、膿を持っている時に膿を対外に排します。

桂枝五物湯(けいしごもつとう)…歯ぐきが慢性的に赤く腫れ、痛みや軽い出血がある時、また口臭が強い時に。

甘露飲(かんろいん)…慢性的な胃腸虚弱の人で、口中に炎症を伴った歯肉炎の痛み腫れに。

加味清胃散(かみせいいさん)…歯や歯ぐきの病気の全般的に用います。

十全大補湯(じゅうぜんぼだいとう)…体力があまりなく、貧血、疲れやすい、だるいと普段から訴える人に。

民間薬としてはクマ笹エキスが素晴らしく効果があります。クマ笹エキスで歯ぐきをよくマッサージすると引き締まり色もよくなります。

昔は歯周病は年寄りの病気とされていましたが、最近は子どもに多発しています。軟らかいものばかりを好んで食べ歯ぐきが鍛えられていないからでしょう。歯は健康の源です。良い歯みがき習慣を身に付けて歯を大切にしましょうね。

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