Vol.30「ひざ関節の痛み」

今回は「ひざ関節の痛み」を取り上げます。

現在、変形性膝(しつ)関節症の患者さんは1千万人、予備群を加えると3千万人と言われています。特に50代以後の女性に多くみられるのは女性ホルモン、エストロゲンの減少による骨生成の悪化が原因と考えられています。

初期症状は朝の3~4分、動き始めのひざのこわばり感。少し歩けば自然に戻りますが、2~3カ月から1~2年して進行すると、立ち上がる時や階段を下りる時、正座する時などに痛みを感じるようになります。中期になると痛みが強く、曲がらなくなり腫れて水がたまるようになります。これは炎症のためひざ関節の滑膜から滑液が多量に分泌されるためです。末期になると「骨棘(こっきょく)」と呼ばれるとがった骨が神経を刺激して歩くのがほとんど困難になり、足がやせ、関節が変形してO脚になっていきます。

治療法は現在医学では痛み止め注射、水を抜く、物理療法などが中心になりますが、漢方では筋肉、じん帯、軟骨を強化して体に元気と栄養を補い温めながら血液循環をよくして痛みを和らげていきます。最近は軟骨の修復、再生の助けとしてグルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメントも知られるようになりました。テレビや新聞でよく目にします。

また自分でできるケアも大切です。①体重を減らすこと②ストレッチやウオーキングで体を動かす③コルセットやサポーターで足腰の負担を減らす④冷えないように注意するなどを心掛けてください。関節のどんな痛みも体を温めて血行をよくすれば楽になります。それでは漢方薬をご紹介します。

防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)…筋肉にしまりのない水ぶとりでひざに水がたまりやすい人に。

独活寄生湯(どっかつきせいとう)…中高年で疲れやすく、腰やひざに力が入らない人に。

桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)…冷えが強く足がしびれるように痛む人に。のみ続けると慢性化した症状がよく改善されます。

麻杏よく甘湯(まきょうよくかんとう)…関節に水がたまり赤く腫れている人に。

疎經活血湯(そけいかっけつとう)…足のひきつり、しびれ、むくみなどを伴うひざの痛みに。

さて最近、高齢者に限らず、若い人の中にもひざの痛みを訴える人が多くなってきました。これは車社会やいすの生活が中心になってきたからでしょう。毎日歩くことを習慣づけてみてはいかがですか?

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