さて今回は、皮膚病の中でも特に治りにくいとされる「乾癬(かんせん)」について述べていきます。
症状として、皮膚全体に大小さまざまな赤い斑点ができ、表面は乾燥していてかさぶたになっています。特に髪の毛の生え際、耳の後ろ、ひじ、腰、背中、ひざによく発症します。慢性化すると紅皮症皮膚炎や、爪、関節乾癬にまでおよぶこともあります。この病気になると完全に治ることはないと言われ、顔にも広がってくることから、患者さんはとてもつらい生活を強いられ、強いストレスを感じます。友人と温泉に行くこともできず、夏でも長袖の服を着たり、また毎日、フケや落屑やかゆみにも悩まされます。
原因は遺伝的要素、食習慣、代謝障害などと言われていますが近代医学をもってしてもよく分かっていません。ただ経験的にみますと、男女問わず気鬱症、心配性、不安症などの神経の細いデリケートな人に多く発症するようです。
現在、西洋医学は対症療法しかなく、主にステロイドホルモン剤や免疫抑制剤を用いますが、治るどころかますます悪化したり副作用も発現します。対して東洋漢方はやはり体質改善を目標にします。特に駆血(血液や体液をきれいにする)を中心にして血流を促進して皮膚を元気にしていきます。それでは症に合わせた漢方薬を紹介します。
温清飲(うんせいいん)…カサカサ皮膚でつやが悪く、渋紙のように枯燥していて特に慢性に経過した頑固な皮膚粘膜の疾患、皮膚過敏症の人に。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…下腹部に淤血(血滞、鬱血、血塞)があり、しみ、湿疹、にきび、皮膚炎などを繰り返し起こしやすく、肩こり、頭重、のぼせ症の人に。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)…皮下脂肪が多く、便秘がちで高血圧、糖尿病、肥満体質でむくみ、湿疹、皮膚炎などが治りにくい人に。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)…胃腸が弱く疲れやすい、四肢がだるい、眠い(特に食後)などに訴える虚弱体質の人に。
このほかにも、小柴胡湯(しょうさいことう)や消風散(しょうふうさん)、当帰飲子(とうきいんし)などがよく知られています。乾癬で悩んでおられるならぜひ漢方薬を試してください。1年ほどで完治してしまう人もありますがときには2、3年かかる人もいます。患者さん自身が必ず治すと決意してあきらめず漢方薬の服用を続けることをおすすめします。