Vol.24「冷え症」

暑い夏が過ぎて、秋を感じる間もなく朝夕めっきり寒くなりました。冷え性の女性は、これからの季節はつらいですね。

冷え症は、東洋人特有のもので、特に女性に多くみられます。カイロを使ったり、夏でも靴下をはいて寝る人もいるとよく耳にします。また冷え性は万病のもとと言われますが、神経痛、リウマチ、膀胱炎、生理不順、不妊症などさまざまな病気の原因にもなります。

この冷え症を改善していくためには、血行を促進することが第一ですが、血行の悪さは動脈よりむしろ体表面近くにある静脈血のほうが問題です。静脈血の爵滞は特に運動不足に原因があり、同じ姿勢での長時間の仕事や水仕事もその理由になります。さらには冷房や冷たい飲食物の摂取も「冷え性」を生みます。慢性的な冷えや低体温症は、免疫力が低下し、疲労感やアレルギー症状を引き起こしたり、脂肪が燃焼しにくくなるので太りやすい体質の原因にもなります。

さて、冷え性の改善には、西洋医学的にはこれといった有効な治療法はありませんが漢方薬には素晴らしい効果があります。自分の体質に合った漢方薬を選んで、体の中から冷えを治してしまいましょう。それでは代表的な漢方薬をご紹介しましょう。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)…体力がやや弱く腰から下が特に冷えてつらく、しもやけができやすい人に。

苓姜求甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)…腰から下が重だるく両足が冷水につかっているようで、うすい尿が量も回数も多い人に。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)…体力がなくやせ型で、めまい、動悸ののある人に。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…足は冷えるが、顔はのぼせ気味で月経障害のあるような人に。

五積散(ごしゃくさん)…腰から下は冷えるのに、上半身は熱感があり冷たいものを飲むと下痢になるような胃腸の弱い人に。

真武湯(しんぶとう)…身体が弱く、疲れやすく。新陳代謝の機能が衰えて下痢気味の傾向がありよくむくむ人に。

八味地黄丸(はちみじおうがん)…足腰が冷えて夜間南回も小便に起きる中高年以上の人に。

人参湯(にんじんとう)…特に胃腸が弱く慢性的な下痢症で、顔色が悪くめまいや貧血を起こすような人に。

このほかに民間薬としてサフランやクマ笹、生姜がよく知られていますが、特に乾姜(生姜の乾燥したもの)を一日3グラム飲むと大変効果があります。「女性のお尻と猫の鼻はいつも冷たい」と言われますが、女性の冷え性をよく表していて、言い得て妙ですね。

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