今回は神経痛についてお話します。
神経痛は主に、頭部や顔面に起こる三叉神経痛、助骨に沿って起こる助間神経痛、腰から足の裏側に起こる坐骨神経痛がありそれぞれ抹逍神経の流れに沿って走る激しい痛みが特徴です。中高年以後によく起こり原因はさまざまですが、経験的にみて体の冷えや湿潤、疲労や何らかの病気の後によく発生しています。私たちの神経細胞も、血管から酸素や栄養をもらって働いていますが、この神経への血行不良が引き金のようです。かく言う私も若いころ、助間神経痛を患った経験があり、数日間息もできないくらい痛みで悩まされ、病院に行くと「助間神経痛の薬はないよ」と言われたのを覚えています。
さて、神経痛のなかで坐骨神経痛が最も多いのですが、患者さんは「腰が悪い」と思い込んでいるようです。「腰痛」と「坐骨神経痛」は別の疾患です。また坐骨神経痛は急性、慢性どちらも三叉神経痛や助間神経痛のように風邪の後やヘルペスウイルス感染後に発病するのではなく、大多数の患者さんが寒冷症状を呈しています。
ですから特に腰から下肢を温めることが大切です。現在、西洋医学では鎮痛消炎剤の内服やシップ、ステロイド剤や神経ブロック療法などが用いられますが、なかなか完治しません。漢方では体全体を温め神経への血行をよくし、淤血(古血)を去る処方をします。痛みが強い時には西洋薬との併用をおすすめします。それでは代表的な漢方薬をご紹介しましょう。
疎経活血湯(そけいかっけつとう)…坐骨神経痛に非常によく効きます。痛みが激しく夜間よく眠れないような人に。
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)…けいれんを伴うほど強い痛みをしずめる働きがあります。
葛根湯(かっこんとう)…三叉神経痛の代表的な漢方薬。
五積散(ごしゃくさん)…冷え性が強い人の神経痛に著効を現すこともあります。
柴陥湯(さいかんとう)…助間神経痛によく用いられますが、冷えがあるときには人参湯と合方します。
八味丸(はちみがん)…糖尿病や老人の坐骨神経痛に。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…外傷が原因で血体質の人の坐骨神経痛に。
民間薬としては、よもぎ風呂なども昔から知られています。さて、神経痛に限らず、痛みには体を暖めることがとても大切です。温泉療法などいいですね。