Vol.135「更年期症状」

Q.以前から続く更年期症状に悩んでいます。一番つらいのは強い肩の凝りつけで、ひどい時には首筋から後頭部まで硬く凝りつけ頭痛がしてくる程です。他にも手がしびれたり、足首から足の裏にかけて急に痛みが走ったり、強い疲労感、体重増加、ホットフラッシュなど体のあちこちが気になります。また過呼吸で息がしづらくなった時があり、それ以来思い出すたびに不安感が湧き起こり夜ゆったり眠ることもできません。去年の末に閉経して以降、調子が悪くなる一方です。
 少しでも体が楽になるような良い漢方薬はありますでしょうか? (50代女性)

A.今回のご相談は、女性には避けて通れない更年期障害のお悩みですね。一般に女性の閉経期は50歳前後ですが、この時期に現れる体のさまざまな不快な症状が更年期障害と呼ばれています。ストレス等で起こる自律神経失調症とは違い、女性ホルモンの減少によって起こります。症状はひどい頭痛、やり場のない肩凝り、腰痛、のぼせ、動悸、肥満、めまい、多汗、手足のしびれ、全身の倦怠感などの訴えが圧倒的に多く、日本では昔から「血の道症」と呼ばれてきました。体の気、血液、水分などがうまく巡らなくなり、いろいろな不定愁訴が現れてくるようです。
 この更年期障害は女性ホルモンが安定すると数年で治りますが、中には何年間も体の不調に悩む人もいます。治療法は主にエストロゲンホルモン剤、鎮痛剤、精神安定剤などですが、いろいろな副作用が心配です。東洋医学ではこの「血の道症」の治療は得意な分野で有効な漢方薬がたくさんあります。
 さて、今回のご相談は典型的な更年期障害の症状ですので、まず加味逍遥散(かみしょうようさん)が効くと思われます。同時に体の倦怠疲労感を改善するため、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)の併用をお勧めします。ぜひ加味逍遥散合当帰芍薬散を試してみてください。きっとよい効果が得られるはずです。他には冷えのぼせ、生理痛などには桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、いつも喉の辺りに何かつかえて、胃腸の弱い人には半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、疲れやすく時に原因もなく悲しくなったりイライラするような人には、甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)などもよく用いられます。
 最近は女性更年期もさることながら、男性更年期という言葉もよく聞かれるようになりました。ストレス社会が生きる意欲を妨げてしまうんでしょうかね。

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