Vol.134「じんましん」

Q.1年ほど前から激しいじんましんのかゆみに悩まされています。特に夕方、体が疲れてくると唇が赤く腫れたり、腕や手のひら、指先、下着で締め付けられる部分などにミミズ腫れが広がり、かゆくてかゆくてたまりません。肌にかき傷が残らないかも心配です。
 少し前までは皮膚科で頂いた抗アレルギー薬を飲み、なんとか症状を抑えていたのですが、最近は毎日のように発疹が出るようになりだんだんとひどくなってきているように感じます。漢方薬で何か良いお薬はありますでしょうか? (40代女性)

A.じんましんはアレルギーのアナフィラキシー型で大変ポピュラーな病気ですが、なぜか若い人に多く60才以上での発症は少ない傾向があります。原因は食べ物、薬物、汗、花粉、ペットの毛などの外因や寒冷、日光、金属などの肌への直接刺激によるものと、さまざまです。
 また最近はストレスからの心因性じんましんも多く見られます。症状としては急性、慢性ともにかゆみを伴う膨疹(ぼうしん)で、形や大きさはいろいろです。円状、環状、ミミズ腫れ、地図様で時間とともに大きくなったり形が変わったりします。お腹や太もも、腕によくできますが、まれに頭や手足、唇などにも発症します。慢性の場合はほとんど原因が分かっていませんので、やはり対症療法になります。
 一般的には抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服や注射が中心で、重症の場合はステロイドホルモン剤となりますが、完治は難しく再発がほとんどです。
漢方薬では、やはり体質から考えて処方することになります。今回の御相談は、40代女性、ホルモンバランスの乱れもあるかもしれません。この時期の女性によく発症します。
 この方の症状には消風散(しょうふうさん)がいいでしょう。じんましん以外にも風疹、あせも、アトピー性皮膚炎、白癬症(はくせんしょう)などに最もよく用いられます。また体質改善として小柴胡湯(しょうさいことう)がよく効きますので併用するといいでしょう。ぜひ小柴胡湯合消風散を服用してみてください。完治してしまうこともよくあります。
 他には華岡青洲先生がよく用いた十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)や香蘇散(こうそさん)などがよく知られています。じんましんは誰にでもよく起こる病気で桜の樹皮やクヌギの樹皮、シソの葉など身近な薬草が使われてきました。生活の知恵ですね。

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