Vol.133「乾癬(かんせん)」

Q.体中に出る乾癬に悩んでいます。特におでこがひどく目立ち、見た目にもとてもつらいです。皮膚が真っ赤で痒くて痒くてたまらず、部屋中にフケが落ちるので家族にも嫌がられています。夜もぐっすりと熟睡することができません。
 大好きだったスーパー銭湯にも、人目が気になり行けなくなってしまいました。少しでも楽になればと思いご相談に伺いました。
 何かよい漢方薬はありますでしょうか? (60歳男性)

A.乾癬は皮膚病の中でも特に治りにくいとされ、病院によっては「一生付き合う病気ですよ」などと言われます。症状としては皮膚全体に大小さまざまな赤い斑点ができ、表面は乾燥していてかさぶたになっています。
 特に髪の毛の生え際、耳の後ろ、肘、腰、背中、膝によく発生し、慢性化すると紅皮症皮膚炎(こうひしょうひふえん)や爪、関節にまで及ぶこともあります。また顔まで広がってくると強いストレスを感じ、夏でも長袖の服を着たり、毎日フケや落屑(らくせつ)、痒みにも悩まされます。
 原因は遺伝、食習慣、代謝障害などといわれていますが、近代医学をもってしてもよく分かっていません。ただ経験的にみますと男女問わず気欝(うつ)症、心配性、不安症などの神経の細いデリケートな人に多く発症するようです。
 漢方では、やはり体質改善を目標にします。特に駆?血剤(くおけつざい)(血液や体液をきれいにする)を中心として血流を促進し、皮膚を元気にしていきます。
 さて今回のご相談の方はかなり痒みの強い乾癬ですね。抗アレルギー薬の代表薬である小柴胡湯(しょうさいことう)がいいでしょう。それに痒みを和らげる消風散(しょうふうさん)を併用すると効果的です。また乾癬の基本薬、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)も必要です。ですので小柴胡湯合消風散合桂枝茯苓丸が合っています。痒みが減
じてくれば消風散を去ります。
 一般的に乾癬に用いる漢方薬は温清飲(うんせいいん)、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)、小柴胡湯、大柴胡湯(だいさいことう)、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)、桂枝茯苓丸などですが、症状に応じて組み合わせて処方します。この乾癬は1年ほどで完治してしまう人もありますが、時には3年以上かかる人もいます。患者さん自身が必ず治すと決意して、諦めず漢方薬の服用を続けることをお勧めします。

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