Vol.132「不妊症」

Q.結婚6年目ですが、なかなか子どもを授かれず悩んでいます。仕事のストレスなどで2年程前から生理が不順で、1カ月近く遅れて来ることもたびたびです。汗をかきにくい体質でとてもむくみやすく、また低体温症で基礎体温が35℃台に下がってしまうこともあるくらいです。体調を整えて一日でも早く赤ちゃんを授かりたいです。
 ご相談に乗っていただけますでしょうか?(身長163㌢、体重87㌔)(34歳女性)

A.「子どもを授かりたいのに妊娠しない」「精子無力症と診断され希望がなくなった」「妊娠しても流産してしまう」など深刻に悩んでいる夫婦は数多くおられます。現在、約5組に1組の夫婦が子宝に恵まれずにいます。不妊症は女性にとって深い悩みです。真面目で誠実な人ほどストレスを溜め込みがちになります。今のところ西洋医学では不妊症というと卵巣、子宮、卵管などの生殖器に注目して治療しますが、漢方では妊娠しやすい母体づくりを最重要視します。不妊を訴えるほとんどの女性は肩凝り、冷え性、生理痛、低体温症などの血行障害があり、ストレス、神経疲労からのホルモン分泌の乱れ、過食、運動不足による肥満が見られます。漢方薬で体を温めこれらの症状を改善していき、妊娠して満期出産まで導いていきます。
 さて、ご相談の女性は、むくみやすく低体温症、生理が遅れがちで体重が87㌔。水太り体質のようですね。防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)がいいでしょう。また生理不順を整える逍遙散(しょうようさん)も必要です。この防己黄耆湯合逍遙散を、数カ月を目処に服用してみてください。体重も少し減り生理も毎月来るようになれば妊娠も可能になります。
 体質強化のための漢方薬は他にも沢山あります。虚弱体質、貧血、冷え症、習慣性流産には四物湯(しもつとう)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)。胃腸虚弱で太れない・疲れやすい方には補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)。生理不順や無月経、不正出血などには加味逍遙散(かみしょうようさん)や温経湯(うんけいとう)。子宮筋腫や子宮内膜症には桂枝茯苓丸(けいしぶくりゅうがん)や桃核承気湯(とうかくじょうきとう)。それぞれ体質に合わせて合方してください。
 さて、不妊症は女性1人だけの問題ではなく男女2人の問題です。二人三脚で最良の道を見つけることが大切ですね。

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