Vol.120「痛風」

Q.半年ほど前から痛風の痛みに悩んでいます。尿酸を減らすお薬や鎮痛薬を処方してもらい飲んでいるのですが、なかなか収まりません。一度発作が起こると、左足の親指から甲にかけてパンパンに腫れ上がり痛くて痛くてたまりません。お酒も好きで毎日たくさん飲んでしまうのですが、発作が起こっている時はおしっこがスッキリ出ない気がします。これも何か関係があるのでしょうか。(49歳男性)

A.痛風は、尿酸という水に溶けない白色針状の結晶が患部にたまって起こります。これは食品の細胞中にある核酸が排泄されるために体内で合成される物質です。肉や鶏のモツ、イワシ、タラコ、イクラなどに多く含まれています。普通は足の親指つけ根がチクチクと針で刺したように痛み出し、ある日急に激しい痛みに襲われあまりの痛さに脂汗を流すほどになります。そばを歩いても振動でうずいたり、患部が衣服に触れても耐えられない激痛が走ります。足の親指や甲が腫れ上がりふくらはぎから太もも、腰まで痛みやしびれが広がります。風が吹き抜けても痛いことから「痛風」と名付けられました。ちなみにナポレオンもこの病気にかかっていたことから、昔から痛風は帝王病とも言われていたようです。
 今回の御相談者は身長180㌢、体重85㌔でお仕事柄お酒をよく飲み食事の量も多く、またコレステロール値も高いとのことですね。さて痛風の治療は食事療法が基本です。やはり肉類や卵類の取り過ぎ、脂肪の多い食品、アルコールの飲み過ぎなどに注意して水分を多い目に取り、尿酸排泄を促しましょう。今回はかた太りでがっちりした体質、肉食過多でコレステロールや中性脂肪も高い人によく効く大柴胡湯(だいさいことう)がいいでしょう。体の代謝が良くなります。便秘がきつい人には防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)を用いて美食、過食による体内の食毒を下ろします。お酒をよく飲む人の痛風には疎経活血湯(そけいかっけつとう)が有効です。また発作が起きた時には著効がある折衝飲合五虎湯(せっしょういんごうごことう)を使ってみてください。痛みは速やかに治まります。他には発作時に芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)や越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)も用いられます。
 その昔、美食家の多いイギリスでは痛風でない者は上流社会の紳士ではないと言われていたそうですが、この痛みを考えると平民の方がいいですね。

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