Q.10年以上前からひどい脱毛に悩んでいます。子どもの頃から抜けやすい体質で、特にここ数年は毎年冬場にかけてごっそり抜け落ちてしまうため、カツラをかぶらないと気になって外出できないくらいです。仕事はデスクワークで目の疲れがひどく、首筋や肩は感覚がなくなるくらいガチガチに凝っています。これも脱毛と何か関係があるのでしょうか?(34歳女性)
A.今回のご相談は脱毛ですね。
一般に頭髪は10万本ほどと言われていますが、年齢とともに毛髪の成長期(1~7年)と休止期(5~6カ月)のバランスが崩れ壮年性脱毛症となっていきますが、30歳ごろから始まる若年性脱毛症は諦め切れませんね。この脱毛の原因にはいろんな説があります。遺伝、男性ホルモンの異常、ストレス説、頭皮の緊張説など言われていますが、ほとんどが頭皮への血行障害を起こすものです。しかしどれももう一つ決め手がなく、どうやら原因が複合しているようです。
さて、漢方では毛髪は血余と言い腎の働きが毛髪を主ると考えます。そのため脱毛症の人にはまず補腎剤を用います。同時にストレスなどからの頭皮への血行障害には疎肝剤(自律神経を整えて血行を良くする)をよく併用します。いずれにしても頭髪も体全体的に内側から見て治療をしていきます。もちろん生活習慣や食事、精神的な面の指導も大切な要因です。
この方は34歳で、特に寒くなる冬場にごっそりと抜けやすい、冷え症ということと、首筋や肩は感覚がないほど凝りつけるのを考え合わせて、やはり頭部への血行が悪いのではないかと思われます。柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)を使ってみてください。この漢方薬は精神不安があり、ストレスを受けやすい人で不眠、動悸、のぼせ、落ち着かないなどの自律神経失調症の脱毛に最もよく用いられます。また体力がなく、疲れやすくて、冷え性、貧血、めまい、頭痛などで血の巡りが悪い人に用いる当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)と併用するとよいでしょう。ぜひ柴胡桂枝乾姜湯合当帰芍薬散を服用してみてください。脱毛症の治療には時間がかかります。数カ月から1年ぐらいは続けてみましょう。抜け毛が止まり始めたら効果が現れ始めたしるしです。また毎日、朝夕の指での頭皮刺激とブラッシングなども忘れずに。