Vol.112「顔の痒み」

Q. 3~4年ほど前に閉経しましたが、その頃から首やおでこ、目の周り、顎の辺りがカサカサして赤くなり、痒くて痒くて悩んでいます。体が温まってくると特に痒みが強くて、お風呂上がりや汗をかいた時などイライラしてついガリガリとかいてしまいます。ステロイド性の塗り薬は少し楽になりますが、治り切らない顔や首に使い続けるのも不安です。アレルギー体質もあり、痒み止めだけでなく内から治していきたいと思っています。何か良い漢方薬を教えてください。(56歳女性)

A. 女性のお顔湿疹やシミの原因はよく分かっていませんが、40~50代に多く発症することから女性ホルモンの乱れではないかといわれています。一般的には黄体ホルモンが高温期に分泌されて、この時期に悪くなり、生理が始まると治ってしまうものですが、慢性化するとそのまま引かなくなってしまいます。この方は閉経後の更年期障害の神経過敏症やアレルギー体質ということで、女性ホルモンの乱れからお顔湿疹となって発症したのでしょう。
 漢方薬は、疲れやすく更年期や生理時のイライラ、不眠、精神不安などの血の道症に用いる加味逍遥散(かみしょうようさん)がいいでしょう。女性疾患に最もよく用いられる漢方薬の一つです。
 またアレルギー体質の神経過敏症を穏やかにして、よく眠れるように清熱安神薬(せいねつあんしんやく)の柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を併用するのが効果的です。赤く炎症を起こし、カサカサした皮膚の状態を改善するためには温清飲(うんせいいん)を使用します。あまりにも痒みが強く続く時には消風散(しょうふうさん)もいいでしょう。
 さらに、体質的に冷え症で血の道の巡りが弱い人には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)も有効です。皮膚と体質を同時に改善していくと、ほとんどの顔湿疹は数カ月で良くなってくるはずです。
 さて、どんな皮膚炎でもやはり大切なのは食生活と睡眠です。脂っこい物や甘い物は控えめにして、睡眠も23時までには床に就くようにしましょう。
 今夏は猛暑。お顔のケアもこまめに。

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