Vol.103「掌蹠膿疱症」

Q.以前から手の平が痒くて皮が薄くなったり、はがれ落ちたりを繰り返していたので、皮膚科を受診したところ、掌蹠膿疱症だと言われました。ステロイドホルモン剤をその都度塗り、症状を抑えてきましたが、一ヶ月程前からだんだんと酷くなってきました。身内の介護をしているためストレスが強く、また年齢的にホットフラッシュなど更年期の症状で体調がすぐれない日が多いのですが、この手と関係しているのでしょうか? 

A.この掌蹠膿疱症は手の平や足の裏に小さな水疱や膿疱が次々とでき、やがて患部が破れ、血や膿が出て、手足が腫れ、皮膚がポロポロとはがれ落ちてしまう難治性の慢性皮膚炎です。進行すると爪まで黒ずみ変形してしまいます。しかしこの病気はウイルスや細菌によって起こる病気ではなく、現代医学をもってしても原因はわかっていません。実際には糖尿病や高脂血症、IgA腎症、甲状腺機能異常、各種膠原病などを併発している人が多いと言われていますが、全ての人がそうとは言えません。
漢方では部分的に現われた病気でも常に体全体を考えて処方されます。特に炎症を伴う水疱や膿疱は痰瘀(古くて不必要な水分や血液のこと)と考えます。また肉体的ではなく神経的な原因で起こる病気を肝気欝結病とみます。今回のご相談には温清飲、消風散、十味敗毒湯、越婢加朮湯、小柴胡湯、桂枝茯苓丸などの漢方薬を併用すれば改善されてゆくと思われます。先生と相談して下さい。
掌蹠膿疱症は水虫と間違われやすく、水虫薬をつけるとかえって悪化します。注意しましょう。たとえどんな些細な病気でも自分自身のこととなれば本当に辛いものです。目、耳、歯や皮膚、膝、腰、年齢とともに若い頃には思ってもみなかった病気が体に起こってきます。信頼できる先生と相談しながら、ていねいに体を労わってゆきましょうね。

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