Vol.102「老人性皮膚掻痒症」

Q.4年程前から皮膚がとても痒くて困っています。あまりカサカサしていませんが、年齢が81歳ということで、皮膚科では老人性皮膚掻痒症でしょうと言われました。ステロイドホルモン剤を使い続けていますが、一向に良くなりません。特に肘~手首、膝~足首、お腹、背中がつらいです。
漢方薬を試してみたいのですが。

A.老人性皮膚掻痒症は皮膚の老化萎縮で皮脂や汗の分泌が減り、皮膚を護る皮脂膜が十分つくられなくなって起こる病気です。皮膚がカサカサしフケのような落屑をともない、体中のあちこちが痒くなります。なかには夜も痒みで度々目が覚めてしまうような方もいます。漢方ではこれを体質的には腎虚で、症状として血虚生風とみます。よく用いられるのは補腎剤の八味地黄丸、牛車腎気丸、鹿茸大補湯などと補血潤燥・止痒剤の当帰因子です。また慢性化した湿疹を伴う強い痒みのときには温清飲や消風散と併用します。
さて、このご相談者の場合、皮膚科で老人性皮膚掻痒症でしょうと言われ、4年程ステロイドと保湿剤の合剤を使っても痒みがとれないとのことです。おそらく遅延型アレルギーの接触性皮膚炎(神経過敏性皮膚炎)も体質的にあるのでしょう。一部が痒くなると体のあちこちに痒みが広がり、抑えきれないほど掻いてしまいます。この神経性・アレルギー性の痒みには柴胡・黄芩・薄荷という生薬を用いて掻痒神経を清熱し、痒みを治めます。これらの生薬の配合された小柴胡湯や柴胡加竜骨牡蛎湯、加味逍遥散などがお勧めです。ステロイド、保湿剤とともに皮膚科の先生とご相談して、ぜひ漢方薬を試してみて下さい。
この老人性皮膚掻痒症や神経過敏症皮膚炎は特に寒くなってくる秋から冬にかけてよく起こってきます。保湿剤をじょうずに用いて肌を潤しましょう。またお風呂では肌をあまりゴシゴシこすらないように注意しましょう。

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