Vol.95「尿漏れ」

尿のことで悩んでおられる方は老若男女にかかわらず非常に多いのではないでしょうか?
今回はこの尿漏れのお話しをします。
子供では3~4才ぐらいから排尿の抑制ができるようになりますが、この時期を過ぎても尿失禁があるものを遺尿症、夜だけ起こるものを夜尿症といいます。大人になると、
◎腹圧性尿失禁…重い物を持ち上げたり、咳やくしゃみ、ジョギングや運動時に腹圧が上昇して漏らしてしまう。特に女性の4割を超える2000万人以上の人が悩まされていると言われています。
◎切迫性尿失禁…強い尿意切迫感とともに尿をこらえきれずに漏らしてしまう。また冷たい水で手を洗ったり、寒い所に出ると尿が漏れそうになったり。実際漏らしてしまう。特に原因はわかっていません。
 一般的に男性より女性の方が多いのですが、これは男性の尿道が17~20cmと長く、2ヶ所で折れ曲がっているのに対して女性では3~4cmと短く、真っ直ぐになっています。また加齢に伴って排尿を調節する骨盤底の筋肉群が男性よりも弱くなるからだろうと言われています。
50~60才ぐらいになると、心当たりの人も多いのではないでしょうか?現代、治療法は膀胱括約筋を閉じさせるために肛門を締める骨盤底筋体操や、抗コリン薬の内服、ひどい時は手術になるようですが、決め手に欠ける場合が多いようです。
 さて漢方では、特に尿漏れは腎の働きの弱り、膀胱括約筋などの支筋のゆるみは脾胃(胃腸)の力不足(気虚)と考えます。また年齢による老人性膀胱萎縮、膀胱括約筋麻痺等は、腎陰陽両虚として腎の活力低下と考えます。ですので尿漏れにしても体全体を考えた漢方になります。この大・小二便の不調は人としては避けられない事で、昔から漢方薬には沢山の処方が残って現在に到っています。
それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

・補中益気湯・・・・元気なく疲れやすい体質で、胃アトニー、遊走腎、脱肛、子宮脱など、膀胱括約筋の緊張低下からの尿漏れ症に。
・苓姜朮甘湯・・・・腰から下が冷えて、腰以下が重だるく、軽いむくみを伴う冷えからの尿漏れ症に。
・八味地黄丸・・・・中年以後で下肢が冷え、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみなどの人の尿漏れ症に。

尿失禁は生命に直接影響するわけではありませんが、生活の質を低下させてしまう病気です。
お困りでしたら恥ずかしがらずに治療しましょう。ぜひ漢方薬を試してみて下さい。

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