Vol.91「帯下(おりもの)異常」

 一雨ごとに猛暑も和らぎ、過しやすくなってきましたね。
 今回は女性だけのお話しです。
 そもそもおりものは、膣内の潤いを保ち雑菌の侵入や増殖を防ぐ働きをもっています。口の唾液や目の涙と同じようなものです。よく抗生物質を飲むとカンジタ膣炎になる人がいますが、これはおりものの中の善玉菌が除菌されてしまうので、カビの一種のカンジタ真菌が増えてしまうからです。
 生理不順や生理痛に並んで女性のおりものの悩みは多く、昔は婦人科医をこしけ医とよんでいたほどです。これは現代もあまり変わっていません。
 さて、おりもの異常の原因ですが①ホルモンバランスの乱れ、②ヘルペス、ウイルス、③精神的な理由、④肥満症、冷え、などが考えられます。症状としては血が混ざる子宮癌やクラミジア頚管炎、卵巣のう腫、ボソボソとして痒みがあるカンジタ膣炎、くすんだ薄緑色でツンと匂いがある淋菌や大腸菌などの雑菌感染症、泡立ったおりもので強い痒みを伴うトリコモナス膣炎、などが疑われます。
 また、このおりものとともに会陰部のピリピリとした神経病に悩まされている女性も多くいるようです。
 西洋医学での膣剤では止めるとくり返し再発することが多いようですが、漢方では特に骨盤内の炎症やうっ血、冷え、むくみをのぞき、温めながら血流を良くし、子宮機能を調整してゆきます。同時に冷えのぼせ、肩こり、頭痛、めまい等の女性の血の道症や不妊症も改善される場合がほとんどです。おりもの等でお困りの人はどうぞ漢方薬を試してみて下さい。

それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)・・・・急性または亜急性の尿道炎、膀胱炎、滞下、陰部痒痛、子宮内膜症、膣炎、トリコモナス等に最もよく用いられます。
・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)・・・・強い冷え症で下肢が冷痛し、基礎体温が低く、生理異常やきつい生理痛を伴うようなおりものの過多に。
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・・・・冷え性、貧血、体力虚弱で下腹部痛、生理痛、生理不順、頭痛、めまい、むくみ、肩こり、足腰の冷えに。
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・・・・下腹部の痛み、腫瘤、不正出血、子宮筋腫、子宮内膜症、冷えのぼせなどのおりものの改善に。下腹部に限らず全身のうっ血改善にもよく使用されます。

昔から女性の血の道症の悩みに漢方薬は心強い味方だったんですね。

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