Vol.86「PMS(月経前症候群)」

 最近、少子化問題が大きく取り上げられていますが、現在6組に1組の夫婦が不妊症に悩んでいるようです。不妊症には他々原因がありますが、今回はそのうちの一つPMS(月経前症候群)についてお話しします。
月経が始まる3~10日ぐらい前から決まって起こるさまざまな不快な症状で、特に腹痛、便秘、下痢、頭痛、乳房痛、腰痛、肩こり、むくみ、顔湿疹、過食等の体の症状とともにイライラ、不安感、抑うつ、無気力、疲労感、睡眠過多などの精神症状を伴います。
月経のある女性ならば多かれ少なかれ経験しているのではないでしょうか?
原因ははっきりわかっていませんが、高温期に分泌される黄体ホルモン原因説が有力です。
排卵のあと、黄体ホルモンの多い時期に水分が体内にたまり、むくみ、乳房痛、頭痛、体がだるい、というのです。いずれにしてもホルモンバランスの乱れで、広くは更年期症候群も同じように考えられています。治療薬としては鎮痛薬、精神安定剤、睡眠導入剤、整腸剤などが一時的に使用されますが完治することはありません。
 さて漢方では、女性のホルモンバランスの乱れを昔から「血の道症」とよび、体の中を巡る気の異常(気滞)、血の異常(瘀血)、水の異常(水毒)とみなします。また「ホルモンは腎に属しその調節は肝(自律神経)に有る」としていて、ホルモン分泌と自律神経の深い関係を考えながら漢方を決めてゆきます。数ヶ月の服用でPMSが完治してしまう方も沢山いらっしゃいます。長年お悩みの方はぜひ試してみて下さい。

それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

加味逍遥散(かみしょうようさん)・・・・・・・・・・・ゆううつ感やイライラ、怒りっぽいなどの精神神経症状を伴う血の道症の人に。また神経的緊張や情緒変動に伴う腹痛、腹鳴、下痢をくり返す人に。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・・・・・・・・・・・下腹部痛や肩こり、頭痛、めまい、のぼせ、足冷えなどを訴える月経異常で瘀血体質の改善に。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・・・・・・・・・・・体力虚弱で貧血、疲労しやすく、特にむくみなどを訴える月経不順や月経痛に。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)・・・・・・・・・・・習慣性便秘、強い冷えのぼせ、下腹部痛、頭痛、肩こりなどを伴う月経異常に。子宮内膜炎や痔、産後の悪露停滞、下肢静脈瘤などにも用いる。

 今から1800年程前の「傷寒論」という漢方薬の聖書のような古文書に月経前症候群のことが書かれています。大昔からPMSが多くの女性を悩ませてきたんでしょうね。

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