Vol.82「冷え性・低体温症」

 一般的に私達の体温は約36.5℃ですが、深部体温が35℃以下になると低体温症と呼びます。最近、子供や女性に多くみられるようになりました。特に生理不順や不妊症は、冷えや低体温でホルモン分泌の異常や自律神経の乱れが主な原因の一つと考えられています。
 私達の体温が1℃下がると基礎代謝や免疫力の低下、血行不良などから様々な病気を引き起こす原因となります。生活習慣病、アレルギー、感染症、不妊、精神疾患など。また、体温が35℃でガン細胞は活発になるので、温熱療法で体温を2℃程上げ免疫力を高めるよう指導する先生もいらっしゃいます。
 この低体温症になる原因として、特に冷たいものや甘い物の食べ過ぎ、ダイエット、冷暖房、運動不足、自律神経失調、低血圧症などからの血行不良があげられます。
改善には、運動で血液を送る筋力の強化、体を冷やす糖分や冷たいものを控える、お風呂にゆっくり浸かる、筋肉のもとであるタンパク質を多く摂るよう心掛けるなどが効果的なようです。ちなみに「おもいっきりテレビ」に出演されていたあるドクターが以前、「体温を上げて病気を治す」というタイトルの本を出版され、その中で体温の低下=血行不良が様々な病気の最大の原因で「体熱を作り出し免疫力を高めれば、ほとんどの病気は治る。」とまで述べられていました。
さて漢方では病気を、体を温めて(温煦作用)内から治療してゆこうという考えがあります。
私達の体を温めているのは「腎」であり、肝(自律神経)が血行を良くし、体温を調節しているとみなします。ですので、附子・桂枝・乾姜などの生薬を用いて体を温め、柴胡・芍薬・枳実などで気血のめぐりを良くし、冷え性・低体温症を改善してゆきます。ぜひためしてみて下さい。
それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)・・・・・・体力虚弱で、手足に冷えがあり、寒がりで風邪をひいては治りにくいような人に。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・・・・・・・・虚証体質で貧血、腹痛、疲労倦怠感、冷え性、生理不順、めまい、肩こり、頭痛などを訴える女性に。

真武湯(しんぶとう)・・・・・・・・・・新陳代謝が衰えて、四肢が重だるく、冷え、寒け、むくみ(特に下半身)、泥状~水様便を繰り返すような人に。

冷えは万病のもとと言います。運動不足を解消し、冷たいものを摂り過ぎないように心掛けましょう。

PAGE TOP