Vol.65「胃・腸ポリープ」

最近さかんにテレビなどで大腸検査の勧めを放映していますが、近年大腸がんが多く聞かれるようになってきたからでしょうか。その原因の一つがポリープです。今月はこのポリープのお話です。

一般的にポリープとは、粘膜の表面にできたイボのようなものです。胃ポリープは、胃の粘膜にできた傷やただれが治る過程で、ちょうど皮膚の傷が治るときのように、その部分が盛り上がって再生されるのとよく似ています。

大きさは1㌢以下が多いのですが、中には5㌢以上のものもあります。自覚症状はなくほとんどが良性の腫瘍で、そのまま放置しても大部分はがん化することはまずありません。しかし腸ポリープは、がん化する可能性が大きいという特徴があります。

腸ポリープは小腸にはほとんど見られず、結腸や直腸などの肛門に近い大腸にでき、最近の日本人に急激に増えています。40代以降、特に60~70代が最も多く、原因は脂肪食が中心で繊維の少ない欧米型の食生活だろうと考えられています。

気になるのが、大腸ポリープの場合、大きいものほどがん化率が高くなることです。1センチ以下だと5%ですが、4センチ以上のものは90%以上ががん化していたという調査結果があります。

ポリープは自覚症状がないので、多くは人間ドックなどの検査で偶然見つかりますが、発見されたらすぐに摘出を勧められます。その後は数カ月後に再検査、そして一年に一度の定期検査となります。

さて胃腸以外にも子宮や卵巣、鼻(鼻たけ)などにもポリープができ、摘出しても繰り返し再発する人もいます。

以前、20代の若い女性が「医大で2回目の子宮ポリープの摘出を受けるのですが、赤ちゃんがほしいので何とかポリープができない体質になれませんか?」とご相談に来られたことがありました。

ポリープは漢方では「痰・淤」と言い、血液や水分のめぐりが患部で滞っているととらえます。患部のみならず、体全体をみて桃仁、紅花、当帰、芍薬、川?などの生薬を用いて淤血(おけつ)や痰湿をよくめぐらせて、腫瘍や腫瘤(りゅう)を治したり、それらができにくい体質を目指します。ポリープなどでお悩みの方はぜひ漢方薬を試してみてください。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…下腹部のうっ血を治します。もともと子宮筋腫のために用いられてきました。女性の生理痛改善の代表薬です。

血府逐淤湯(けっぷちくおうとう)…肝腫、脾腫、子宮筋腫、卵巣のう種や脳血管障害、眼底出血、血栓性静脈炎など広く淤血体質によく用いられます。

桃紅四物湯(とうこうしもつとう)…生理異常を伴う女性の下部ポリープなどに用います。

日本食を見直して脂肪食品を控えめにし、繊維食品を多く取るように心掛けましょう。

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