Vol.61「アレルギー性結膜炎」

今回はこの結膜炎のお話です。

黒目を覆っている角膜に対して、白目部分を覆っている薄い膜を結膜といい、この部分に起こる炎症を結膜炎と言います。

原因は、花粉、かび胞子、真菌などですが、最も多いのがダニを含んだハウスダストです。特に、花粉の時期に鼻炎に伴って起きるケースがよくあります。

スギ、ヒノキ、ブタクサ、バラ、イチゴ、モモ、ウメ、キク、イネなどの花粉抗原によって目の結膜が感作(過敏反応)され、I型アレルギーからのヒスタミン遊離で、かゆみ、充血、涙目、目やになどの症状に悩まされます。

また慢性化すると、花粉のシーズンが過ぎても年中充血やかゆみが残り、患者さんにとってはとても苦痛です。

治療法はアレルギー性鼻炎と同じく、アレルゲンを少しずつ注射して体を慣らしていく減感作療法や、対症療法として抗ヒスタミン剤、ステロイド剤などの内服や点眼剤が有効ですが、なるべくステロイドの長期使用は避けたいものです。

半年以上の使用で角膜や結膜の免疫力が低下し、白内障や角膜ヘルペス、角膜真菌症などの感染病にかかってしまったという例もあります。

さて、眼科での治療が思わしくない時や、他にも全身症状が表れている時には、眼科治療と併用して漢方薬を使ってみてください。漢方では症状の緩和とともに、体を温め、血行を良くして免疫力を向上し、アレルギー体質そのものを改善していきます。

ですから同時にアレルギー性鼻炎やじんましん、食餌アレルギー、においアレルギーなども治ってしまう例も多くあります。それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)…華岡青洲が考案した薬方で初期のアレルギー疾患やじんましんに用いる。また、長期に服用して体質改善を図る。

銀翹散(ぎんぎょうさん)…涙目よりも強い充血とかゆみに。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)…アレルギー性鼻炎の発症時に併発する結膜炎や涙のう炎に。他には風邪の咳嗽(がいそう)や鼻炎にも、頻用されます。

越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)…まぶたが腫れ、外見が不潔に見えるほどただれ涙や目やにが多い時に。

葛根湯(かっこんとう)…結膜炎になりかけで、肩凝りが強い時に。

1960年代までは、アレルギー患者さんは日本ではごく少数しかありませんでしたが、近年急増しています。特に子どもに多く、環境や食べ物の変化もありますが、外で遊べなくなったのも一因かなと思う時もあります。

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