Vol.53「心身症」

最近は女性に限らず、男性更年期もよく耳にします。ストレス社会の中で心理的、精神的な要因で身体のあちこちに異常が起こる病気が、今回お話しする心身症です。

同じような原因でも精神面に症状が現れる場合は、精神病や神経症といい、心身症とはまったく違うものです。

原因となるストレスには、自分や配偶者、家族の病気、仕事や家庭のトラブル、借金、離婚などが多いようですが、人それぞれストレスに対する反応が違います。

性格的には真面目で、内向的な人、職場でのささいなことにも緊張したり、不安になったりする情緒不安的な人に心身症が起こりやすい傾向があります。

体に現れる症状は大変多く、円形脱毛症、多汗症、チック、腰痛、筋肉痛、潰瘍性大腸炎、過食症、めまい、耳鳴り、頭痛など、さまざまです。

この他にも、憂鬱(ゆううつ)感、全身がだるい、動悸(どうき)、性欲減退などもよく聞きます。また、子どもがよく「お腹が痛い」「頭が痛い」と訴えるのも心身症の症状の一つです。

治療法は、身体に現れている症状の改善と精神面からのケアが必要です。薬物療法ではマイナートランキライザー(抗不安薬)や抗うつ薬がよく使われますが、完治は難しいようです。

自分でできる方法には、自己暗示をかけることで、心身をリラックスさせる自律訓練法が効果的です。

漢方では、神経から起こる病気を総称して肝気失調と言います。神経が胃腸に及んだ時は、肝胃不和、過換気症候群など、肺に及んだ時には肝鬱犯肺、イライラ、動悸などは心肝火旺(しんかんかおう)と考えます。

漢方治療の目標は、疎肝(神経を緩やかにすること)で柴胡や芍薬、蘇葉という生薬を配合して処方を決めます。この神経症や心身症は漢方の得意とする分野で、数カ月でかなりの効果が見られ、継続服用していくと完治してしまう人も多くいます。それでは漢方薬をご紹介します。

四逆散(しぎゃくさん)…憂鬱感、情緒不安定、便秘と下痢を繰り返す、生理痛、生理不順に。

加味逍遙散(かみしょうようさん)…冷え性、肩凝り、精神不安、イライラ、のぼせ症に。

半夏厚朴湯(はんげつこうぼくとう)…気分がふさいで咽喉、食道部に異物感があり、動悸、めまい、嘔気などを伴う不安神経症に。

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)…冷え性、貧血ぎみで動悸、息切れ、寝汗、頭部の発汗などの血の道症、不眠症、神経症に。

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)…疲れやすく神経過敏で神経質、不眠症、眼精疲労などに。

ここ数年、心身症の方のご相談が多くなりました。人生に喜びや楽しみが少なく、心に栄養が足りないように感じています。自分にやさしくしてみませんか?

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