今回は「胆石」のお話をします。
「死ぬほど痛い!!」とよく聞きますが、右の助骨の下あたりに突然激しい痛みが起こり、ひどい時には、発熱や黄疸(おうだん)も現れます。脂肪分の多い食事や、食べ過ぎの後によく起こるようです。もともと昔の日本では少ない病気でしたが、食生活の欧米化に伴って増加し、最近ではよく見掛けるようになりました。
さて、胆石はその成分によって二分されています。胆汁中のビリルビンが固まると黒っぽいビリルビン胆石となり、肝臓や胆管に多くたまります。ちなみに、直径1㌢以上の大きな胆石やビリルビン胆石は、あまり痛みがありません。胆汁中のコレステロールが固まると、白っぽいコレステロール胆石となり、胆のうにたまります。これがよく動くので時に激しい痛みを発症させます。
この胆石発作痛の時は、何よりも安静が第一です。軽い場合は、1~2時間で治まりますが、痛みが取れない時は、ブスコパン等の鎮痛剤を用います。手術一辺倒だった昔と違い、近年は内視鏡、溶解療法、衝撃波破砕療法など、切らずに治す方法が中心となってきました。また、超音波検査で経過を観察していく保存療法も多くとられています。漢方では、体液が固まったものを「痰・」といいますが、胆石もそのうちの一つです。胆汁中に含まれるコレステロールなどが固まって胆石になるからです。
治法は疎肝、活血化となり、やはり気血水の流れをよくして、体質を改善していきます。漢方薬を用いると痛みの発作回数がだんだんと少なくなり、やがては起こらなくなります。石の大きさや人によって違いますが、数カ月で消えてしまう場合もあります。それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
大柴胡湯(だいさいことう)…最もよく用いられる処方で、体力のある人の急性・慢性胆石症に。
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)…胆管や下腹部筋のけいれんを緩めることで発作時の痛みを和らげます。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)…発作時に発熱し、強い炎症を伴う時に他薬と併用します。
茵蒿湯(いんちんこうとう)…黄疸がある時に。
良枳湯(りょうきとう)…症状が安定している時の俳石の目的で用います。民間薬としては連銭草(カキドオシ)が有名です。尿路結石や歯石を取る働きもあります。
胆石症の人は普段からコレステロール値が高くなりやすい動物性脂肪の食品は控えるように心掛けましょうね。