今回は、みずむし、たむしについてお話しします。
むずむしは白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が皮膚に寄生して起こる病気で、この菌はミカンや餅につくカビと同じ種類のものです。特に足の指の間や足の裏に発病しやすく「水虫」の言葉通り、湿り気の多い皮膚によく見られます。
また手足にできたものを「みずむし」、その他にできたものは「たむし」と呼びます。たむしは、股やお尻、脇の下、乳房の下などにできやすい「いんきんたむし」と、顔、腕、体にできやすい「ぜにたむし」があり、やはりかゆみがあって体が温もるとより強くなります。
症状としては、特に足の指の間の水胞性みずむしは、かいてもかいても収まらない程のかゆみが主で、ひどくなると水疱状から丘疹性になり、かゆさに痛みも加わります。また細菌感染からも化膿し、リンパ腺炎を起こすこともあります。
治療法は、やはり患部を清潔に保ち、乾燥させて風通しをよくすることが大切です。その上で根気よく抗白癬菌剤を塗り続けます。普通は、2~3カ月でよくなりますが、症状が軽くなってもすぐやめず気長に続けることが肝心です。
また、かかとによく発症する角化型や爪みずむしには、グリセオフルビンという内服薬を数カ月から1年くらい服用します。いずれにしてもなかなか根治しない難しい病気ですが、塗り薬にぜひ漢方薬を併用してみてください。
漢方では全身症状を考えながら治療するので、卓効を現すことも少なくありません。それではよく効く漢方薬をご紹介します。
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)…患部がジュクジュクして、かゆみが強く化膿している時に。
越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)…汗かきの人で慢性的に患部が湿潤している時に。
温清飲(うんせいいん)…体質的に皮膚が弱く、患部が赤く充血し、熱を持ってかゆい時に。
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)…特に股のたむしで赤発かゆみが甚だしい時に。
紫雲膏(しうんこう)…華岡青州がつくった漢方軟膏で、みずむし以外にもほとんどの皮膚病に用います。この他、民間療法としてクマ笹やシソ葉、アロエなどがよく知られています。
みずむしの感染源は、大衆浴場や温泉旅館の大浴場などの人が集まる所のマットやスリッパが多いと言われています。お風呂上がりには足をよく乾かしてから手入れしておきましょう。女性に限らず足のきれいな人は、清潔感がありますね。