Vol.42「躁うつ病」

先日テレビで若い人に「新型うつ病」が多くなったことが報道されていました。過保護に育てられ、心の力が弱くて、上司からのちょっとした注意に気持ちが折れて「うつ病」になってしまうそうです。さらに、引きこもりなどの心の病気も随分と問題になっています。今回はこの「躁うつ病」についてお話しします。

躁うつ病はだいたい、50歳位以上の人に多く、職場や家庭での強いストレス、子どもの自立や親しい人の死、人生の目的を見失ってしまったことなどからよく発症しています。性格的に、几帳面で完璧主義の人に多いようです。

躁状態では、気分が高揚して口数が多くなり、しゃべるのをやめようとせず興奮して夜も眠ろうとしません。感情が抑えられなくなってしまうのです。

しかし、うつ状態になると食欲や性欲もわかず疲れやすくなり、気が滅入って何もしたくなくなります。ひどくなると虚無的な気持ちになり、真剣に自殺を考えるようにもなります。

周囲の人は、励ますばかりでは、かえって逆効果だと知らなければなりません。温かく心に入り込み、うつは病気であること、必ず治ることを自覚させ、希望を持たせたり、慰めたりするような接し方が大切です。

現在、治療は対症療法で、抗うつ薬、精神安定剤、睡眠薬、食欲増進剤などが主に使われ、本人の不安感や不眠などに効果が見られますが、時間をかけてのカウンセリング療法も必要です。

東洋医学では、この心と体の両面に効く漢方が昔から多数、処方されています。ぜひ併用してみてください。それでは、代表的な漢方薬をご紹介します。

甘麦大棗湯(かんぱくたいそうとう)…理由もなく悲しんだり、怒ったりし、不眠や動悸、胃のもたれなどをよく訴える人に。最もよく用いられます。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)…神経衰弱、ヒステリー、ノイローゼ、血の道症、うつ病などで気分がふさいで、のどのつかえを訴える人に。

加味帰脾湯(かみきひとう)…貧血気味で心配事が多く、不眠、健忘症、動悸、息切れに。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)…不安感が強く、特に動悸。のぼせ、イライラ、不眠などの不安神経症、対人恐怖症、強迫神経症に。

他に、香蘇散(こうそさん)、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)などがあります。

昔から躁うつ病は、病気や孤独な生活などから年齢が上がるほど増える心の病とされてきましたが、最近は若い人にも多く発病するようになってきています。

体に栄養がいるように、心にも喜びや安らぎ、希望が必要です。人にも自分にも思いやる心が大切ですね。

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