Vol.27「花粉症」

今回はアレルギー性鼻炎についてお話します。

そもそもアレルギーとは、有害物質が体内に侵入すると生まれ持った免疫力が働いてウイルスや細菌、その他の異物を破壊しようとします。この防衛反応が過剰になり、敵に対する攻撃よりも味方である自分の体を刺激して皮膚や粘膜の炎症を引き起こすというものです。私たちの体は一度大量の花粉のようなアレルゲンに対して過敏に反応すると、次には少量のアレルゲンに対しても感作してすぐにアレルギー症状が現れます。その繰り返しがアレルギー体質になるのです。

さてどうして最近、こんなに花粉症が急増したのでしょうか。バランスの悪い食事、生活環境の変化、ストレスからの自律神経の失調などと考えられていますが、はっきり分かっていません。現在2000万人以上と言われる花粉症患者さんは9割がスギ花粉症です。

くしゃみ、鼻水、鼻づまりが三大症状で、ひどくなると目の充血、かゆみ、湿疹も出ます。昼間は頭がぼうっとして、集中できず、夜は夜で鼻づまりが息苦しくてよく眠れません。現代医学では抗アレルギー剤や副腎ホルモン剤を服用するか週に一度、定期的に少量の花粉エキスを注射する免疫療法を行いますが、一時的に楽になってもすぐに症状がもどってしまいます。

漢方では、症状を抑える対症療法と体質を変えていく根本療法とを並行して処方します。漢方療法では経験的にみて約半数の人が根治し、残りも症状が軽減される例が多いようです。それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)…くしゃみ、鼻水、鼻づまりでうすい水様のたんを伴う人に。アレルギー性鼻炎に最もよく用います。

五苓散(ごれいさん)…鼻水が多くて、かんでもかんでも止まらない人に。

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)…体が冷え性で体力のない人に。

小柴胡湯(しょうさいことう)…慢性化したアレルギー体質の人の鼻炎に。

葛根湯加川弓辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)…特に鼻づまりが強い人に。

さて民間薬としては昔から生姜がよく知られています。生姜末を一日3グラムほど飲むと体が温まって鼻炎がとても楽になります。試してみてください。

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