Vol.12「アレルギー」

近年アレルギー症状に悩む人が非常に多くなっています。体は病気に負けないように、免疫力を働かせますが抗原に過剰反応してアレルギー症状が現れるのです。アレルギーはⅠ型からV型に分類されますが最もよくみられるのがⅠ型です。気管支喘息、じんま疹、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などはこれに分類されます。これは主にリンパ球のIgEによるものです。

今回は、このⅠ型アレルギーについて述べてゆきます。

食事性じんま疹…青身の魚介類、エビ、カニ、ソバなどを食べた後、急に全身の皮膚が赤く腫れ上がり、ひどいかゆみに襲われます。若い人が多いようです。かゆみがひどく、のどに炎症が起こると呼吸困難になることもあるので注意が必要です。これは胃粘膜からのアレルゲンの侵入によって起こります。トウガラシや塩分、糖分の多い食品、炭酸飲料などで、薄い胃粘膜を傷つけない事です。漢方薬は急性じんま疹には葛根湯(かっこんとう)を用います。慢性的に繰り返す時は十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)や香蘇散(こうそさん)、かゆみが強い時には消風散(しょうふうさん)を用います。

アレルギー性鼻炎…原因は、ご存知のように、花粉やダニ、ほこりなどがアレルゲンです。抗原抗体反応によって鼻粘膜に多量のヒスタミンが分泌されるので血管から水分があふれ出し、クシャミ、鼻水、鼻づまりとなります。漢方薬は小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が最も有効ですが、鼻水が多い時は五苓散(ごれいさん)を併用します。

アレルギー性結膜炎…眼球をおおっている結膜の部分にアレルギー反応が起こり、充血、かゆみ、目やになどを訴えます。漢方薬は小青竜湯に黄連解毒湯(おうれんげどくとう)などの清熱剤を併用します。

アレルギー性気管支喘息…気管支粘膜にアレルゲンが侵入し、突如発作が起こります。発作は激しく、時には呼吸困難におちいり、寝ることもできず、一日中、壁にもたれて苦しまなければなりません。副腎ホルモン剤を服用すると楽になりますが、強い副作用があります。発作の軽い時や体質改善としては、柴朴湯(さいぼくとう)という漢方薬を用います。気管支喘息の専門薬と言えます。

アトピー性皮膚炎…主な原因はカサカサした皮膚がアレルギー反応を起こしやすいのです。しかしアトピーは単純なⅠ型アレルギーではなく複雑な要因があって抗アレルギー剤では治りません。漢方薬は温清飲、白虎加人参湯、消風散を中心に処方します。

さて経験的にみるとアレルギー体質の人は、胃腸の消化吸収と人体へのタンパク同化作用が不十分なようです。だから各粘膜の抵抗が弱く、アレルゲンの侵入を許してしまうのです。アレルギー体質を改善してゆくには胃腸の力をつけて、体全体の生命力を養う事が大切ですね。そして粘膜を強くするのに、クマ笹のしぼり汁や薬用人参などおすすめします。

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