Vol.11「風邪・インフルエンザ」

かぜの特効薬を発見したらノーベル賞ものだ…とよくいわれますが、かぜそのものを治す方法は現代医学ではまだありません。かぜの一般的な症状は、咳嗽、咽痛、鼻炎、頭痛、発熱、倦怠感がよくみられます。しかし毒性と感染力が強く、全身症状がことに強く現れ、時に重症化するインフルエンザはかぜと区別して扱われています。

かぜ症候群の80~90%はアデノウイルス等のウイルス感染で、10~20%がマイコプラズマ、細菌感染です。これが「ほとんどのかぜには抗生物質は無効」とされる理由です。

通常、かぜの症状は比較的軽く短期間で治ることが多いのですが、時には中耳炎や肺炎、髄膜炎などを引き起こし、また持病がこじれ、悪化する危険性もあります。「かぜは万病のもと」です。早めの治療が大切ですね。

インフルエンザはインフルエンザウイルスによる急性感染症で、流行性感冒、略称流感とも呼ばれています。症状が急速に現れ、ウイルスの毒性が強いので高熱が出やすく、全身の筋肉や節々に痛みを伴います。感染経路は飛沫感染で、口や鼻から感染し潜伏期間は1~2日です。

治療法として西洋薬の基本は対症療法になります。例えば咳には咳止め、熱には解熱剤、痰には去痰薬というように複数の薬剤が配合された総合感冒薬です。対して漢方薬の原則は、ウイルスの種類が何であれ体本来の防御反応を高める働きを持つ薬を使用します。自然治癒力を高めます。

皆さんもかぜには葛根湯と一度は耳にしたことがあると思いますが、漢方には速効性があります。それではよく効く漢方薬をご紹介します。

葛根湯(かっこんとう)…かぜの初期で、発熱、悪寒、頭痛、首から肩のこりつけで汗が出ない時。 

小青竜湯…鼻水、くしゃみ、咳などの鼻かぜに即効性がある。

麻黄湯(まおうとう)…インフルエンザの初期などで高熱が出て、節々や筋肉が痛む時。

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)…老人や虚弱体質で熱があるのに寒い寒いと訴える人に。

小柴胡湯(しょうさいことう)…かぜがこじれて微熱がとれず治ったかと思うとまたぶり返す時。

銀翹散(ぎんぎょうさん)…熱いかぜ、特にのどの痛みが強く熱感、口渇がある時。

この他にも、多くの症状に合う、漢方薬があります。専門家に相談して自分に合ったお薬を選んで下さい。

さて、かぜかなと思ったらまず温かくして寝るのが一番です。ネギ入りみそ汁などを飲むと効果的です。あなどらずに軽いうちに治しましょう。

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