近年、非常に多くなってきている自立神経失調は心の病気です。性格が弱気で、遠慮がち、くよくよしすぎる神経質な人によくみられます。さまざまな症状がありますが、代表的な訴えは全身がだるい、動悸、息切れ、頭痛、目まいで、他には食欲がない、胃がムカムカするなどもみられます。どこかおかしいと病院でX線や血液検査をしてもらっても、「どこも悪くありません」と冷たく言われてしまいます。
この病気はストレスが主な原因で、症状としては女性の更年期障害と似ていますが、ホルモンの分泌とは関係がなく、全身の臓器を自動的に調節している自律神経そのものの異常で発生します。人は長い人生の間に多かれ少なかれ、この自律神経失調症を経験します。仕事や家事がおっくうになり、気分が滅入ってしまう、人と会うのがうっとうしい、やる気が出ない…など、心あたりはありませんか?
このような症状の時に漢方薬を服用してみて下さい。とても効果があります。特に精神安定剤の副作用を心配している人にピッタリです。いくつかの代表的な漢方薬を紹介します。
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)=イライラ、不眠、目まい、ふらつき、筋肉のけいれん、ひきつり、しびれ等。
桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)=神経過敏、不安感、興奮しやすく上半身に熱感を覚える人。不眠にも効果あり。
加味逍遙散(かみしょうようさん)=疲労しやすく、突然突き上げるようなのぼせ、生理期になると特に神経が不安定な人。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)=緊張するとよく咳払いをする。のどがつかえている感じ。女性のヒストリー症をよくおこす人に効果がある。
柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)=みぞおちから両脇腹にかけて圧迫感や痛みがある。不眠を安らかにしてイライラをとります。またこの他に民間薬としてシソの葉がよく使われます。神経不安があり、イライラしてよく眠れない時にシソの葉茶として用います。ハッカ茶なども気分が落ち着くでしょう。
さて、神経症に悩む方々には、体を温める週2、3回の温泉療法と、毎日軽めの運動をおすすめします。温めてホッとして楽になると体がほぐれてきます。また、体がほぐれると気分がよくなり明るく前向きな考え方ができるようになるでしょう。心と体は一体です。自律神経失調は体から心への信号です。もっと気持ちをゆるめて明るく楽しく生きてねと言っているみたいです。
次回はアトピー性皮膚炎について述べます。